2020年12月末に配信終了となった『携帯サイト新耳袋』。
11年間に亘り連載していた短編、『かっぱの妖怪べりまっち』は、第563回で終了となりました。
今後、随時こちらに引っ越して参りますので、ご愛読のほどよろしくお願いします。
しばらくの間、オリジナル妖怪たちが登場します。
キノコ妖怪の最長老「エノキ岳のエノキ仙人」の話
食欲の秋がやってきた。
この時期になるとかっぱは裏山までキノコ採りに出掛ける。
軽くあぶったり、お鍋に入れたりと、
秋から冬にかけてキノコはかっぱの食卓に欠かせないよ。
先日はにんげんの女の子を連れて山に登ったんだけど、
その子が「松茸だ!」と採ったキノコを喜んで食べたら、
そのまま3日間も笑いが止まらなかった。
あれは松茸によく似た、
キノコ妖怪だったんだ。
キノコ狩りに行って笑いが止まらなくなる人や、
踊り出したり、怒り出したり、まぼろしが見えたり、
ときには白目をむいて倒れる人を見たことがあるでしょう?
あれはキノコ妖怪がにんげんのお腹に入って、
いたずらしているのさ。
そのキノコ妖怪の長老っていうのが
今回紹介する「エノキ岳のエノキ仙人」だよ。
元々は黄金色のふっくらしたキノコ妖怪だったらしいけど、
今では白髪ならぬ白茸になっちゃった。
寄る年波には勝てないね。
エノキ仙人を食べたらどうなるかって?
昔は日本の各地にいたエノキ仙人も、
今では山奥に数人いるのみ。
だから食べることはおろか、見つけることも出来ないはずさ。
「もし長老を食べるとどうなるの?」って実は、かっぱも訊いたことがある。
「食べた人に寄生して、その人のお腹からニョキニョキと生えてくるんだよ」
なんて言うから、かっぱはすっかり怖くなっちゃった。
本当かどうか判らないけど、
みんなもエノキタケは信頼できるお店でお買い求めくださいね!