『かっぱの妖怪べりまっち』第46話「エノキ岳のエノキ仙人」 | おばけのブログだってね、

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The 26th Anniversary of Formation

2020年12月末に配信終了となった『携帯サイト新耳袋』。

11年間に亘り連載していた短編、『かっぱの妖怪べりまっち』は、第563回で終了となりました。

今後、随時こちらに引っ越して参りますので、ご愛読のほどよろしくお願いします。

しばらくの間、オリジナル妖怪たちが登場します。

 

キノコ妖怪の最長老「エノキ岳のエノキ仙人」の話

食欲の秋がやってきた。

この時期になるとかっぱは裏山までキノコ採りに出掛ける。

軽くあぶったり、お鍋に入れたりと、

秋から冬にかけてキノコはかっぱの食卓に欠かせないよ。

先日はにんげんの女の子を連れて山に登ったんだけど、

その子が「松茸だ!」と採ったキノコを喜んで食べたら、

そのまま3日間も笑いが止まらなかった。

あれは松茸によく似た、

キノコ妖怪だったんだ。

 

キノコ狩りに行って笑いが止まらなくなる人や、

踊り出したり、怒り出したり、まぼろしが見えたり、

ときには白目をむいて倒れる人を見たことがあるでしょう?

あれはキノコ妖怪がにんげんのお腹に入って、

いたずらしているのさ。

そのキノコ妖怪の長老っていうのが

今回紹介する「エノキ岳のエノキ仙人」だよ。

元々は黄金色のふっくらしたキノコ妖怪だったらしいけど、

今では白髪ならぬ白茸になっちゃった。

寄る年波には勝てないね。

 

エノキ仙人を食べたらどうなるかって?

昔は日本の各地にいたエノキ仙人も、

今では山奥に数人いるのみ。

だから食べることはおろか、見つけることも出来ないはずさ。

「もし長老を食べるとどうなるの?」って実は、かっぱも訊いたことがある。

「食べた人に寄生して、その人のお腹からニョキニョキと生えてくるんだよ」

なんて言うから、かっぱはすっかり怖くなっちゃった。

本当かどうか判らないけど、

みんなもエノキタケは信頼できるお店でお買い求めくださいね!