『かっぱの妖怪べりまっち』第40話「龍」 | おばけのブログだってね、

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2020年12月末に配信終了となった『携帯サイト新耳袋』。

11年間に亘り連載していた短編、『かっぱの妖怪べりまっち』は、第563回で終了となりました。

今後、随時こちらに引っ越して参りますので、ご愛読のほどよろしくお願いします。

 

女湯のぞく気の荒い神さま「龍」の話

 

 

かっぱは人間の友達だ、って言ってるけど、もともと河童類は「水神」と呼ばれていた。

確かに自由自在に尻こだまを抜いたり、

皿の水から万能薬を作るなんて河童類にしかできないからね。

しかし水神といえばやっぱり「龍」だろう。

河童類も水陸両用だけど、さらに空を飛べる「龍」は別格。

 

箱根芦ノ湖に棲む龍には世話になってて、

かっぱはよく泊まりがけで遊びに行くよ。

先日も、カラカラになった皿を潤すため温泉で湯治をしつつ、

龍の背中に乗せてもらい、伊豆まで脚を伸ばして来た。

「人身御供」なんてものを喜ぶくらいだから、龍は美女が大好きで、

伊豆では尻こだま狙いのかっぱと一緒に女湯を片っ端からのぞいて歩いたのさ。

露天風呂に浸かる美女たちは

「あ、あの雲みて!龍みたい~」

なんてのんきに言ってたけどね。

 

龍は楽しくて気のいい友達だけど、時にけっこう気が荒い。

以前、龍が大切に持っている玉をこっそり持ち帰り、

尻こだまコレクションに並べておいたことがある。

いやはや怒ったね、

それこそ逆鱗に触れるってやつさ。

カッカしながらかっぱの家まで追い掛けてきたもんだから、

横浜に大雨強風波浪警報が出ちゃって、あれにはまいったよ。