2020年12月末に配信終了となった『携帯サイト新耳袋』。
11年間に亘り連載していた短編、『かっぱの妖怪べりまっち』は、第563回で終了となりました。
今後、随時こちらに引っ越して参りますので、ご愛読のほどよろしくお願いします。
長寿国、日本にあふれる「猫又」の話
普通の猫も10年以上生きていると「猫又」という妖怪に変化するのは皆さん、ご存知の通り。
かっぱと暮らす猫も、実際に10歳を越えたあたりから言動がおもしろくなってきた。
まず、シッポの先が二股になっているか確認しようとすると、やたらと怒って触らせない(以前はそんなことなかった)。
音楽をかけると後ろ足で立って、前足でひょこひょこリズムを取っている。
ごはんのときに手ですくって口まで運んで食べる、さすがに箸を使ったりはしないけど。
また、気に入らない事があると「うおーー!」と叫びながらゲロをする。
出かけている間にPCを操作してネットゲームを進めている。
先日はネットショッピングで「訳ありタラバガニ」を999999箱も購入しようとしていたので慌てて阻止した。
また、やかんを火にかけたまま忘れていると「おい!」と呼びに来る。
朝も「ねぇねぇ」と起こしに来て、それでも起きないと鼻を思い切りかじるか、まぶたに爪を立てる。
夜中になると出かけて行き、へとへとになって夜明けに帰宅する。
やたらと胴が長くなり、どこまでもいくらでも伸びる。
最近、凝っているのがお尻でやる習字だが、まだ「の」と「し」しか書けない。
時折、句読点を落として歩くから厄介だ。
もし、お宅の猫ちゃんにもこの様な症状が現れたら,間違いなく妖怪化していると思われる。
でも心配することはないさ、
日本で暮らす長生き猫の97%は猫又に変化しているから。
アヤシいな、と思ったら、根気よく話しかけてごらんよ。
いつか必ず油断して「ああそうだね」と明瞭な日本語で返事してくるから。