元夫の

「常識って、それはお前の常識だろ?(俺たち家族には通じないよ)

俺が稼いだ金で買ったものを誰に貸そうが、お前に関係ない!」


この言葉で、はっきりした。


元夫にとっての大切な家族は母や姉妹であること。私はただの部外者であること。


子どもの学校の編入の関係で、夫より後に帰国することにしたため、先に帰国した夫に三人で一緒に暮らすという条件を、職場に遠くて大変だからという理由で(遠いことはわかっていたはず)反故にされ、夫は単身赴任で義母と同居するという、誰に聞いても奥さんが可哀想すぎるという状況に追い詰められた。

それに対して申し訳ないなどという気持ちはさらさらなく、それどころか、車が必需品のど田舎で、車は妹に貸して私に我慢しろと?


お前なんか大切ではない、と言われているようなものだった。


だから、私はこれを言ったらお終いとわかっていて、禁断の言葉の矢を放った。唐突に。


「保険金詐欺、、、した、、、よね(私が不審に思っていないと思う?)」


元夫は鬼のような形相をした。

私も覚悟した。


しかし、それは本当の一瞬のことで、

すかさず元夫は体勢を立て直し


「悲しいな」


とだけ言った。


一瞬にして、人権侵害的な暴言を吐かれた、被害者然を装う切り返しに、

この男は本当にある種の天才だ、

と思った。