漢方薬を継続して服用しもらうコツ | 漢方1日1歩のブログ

漢方1日1歩のブログ

1日生きるとは1歩進む人生でありたい(by湯川秀樹)の言葉のように、傷寒論や類聚方広義、勿誤薬室方函を参考に1日1歩づつ漢方医として成長していきたいと思っています。(実際に患者に処方するにあたっては添付文書を参照され、自らの診断と責任でご処方ください。)

漢方は食前に服用するべきかよく質問される。正直根拠は持ち合わせていないが、私は食前、食後どちらでも良いと思っている。漢方に親和性がある患者は問題ないが、少し懐疑的な患者は、何か制限をつけると早晩ドロップアウトすることが多い事を経験するからである。『神農本草経』序録では



(原文訳)病気が胸部より上にある場合は食後服用が良い。病気が腹部より下にある場合は食前が良い。病気が四肢や血脈にある場合は朝食前が良く、病気が骨髄にある場合は夜食後に服用するのが良い。


とある。これだと風邪を含めた胸部より上位の疾患は食後服用が良いという事になる。『神農本草経』の記載をそのまま真に受けることはできないが、要はケースバイケースということに落ち着くと思う。当院では、漢方専用の薬袋を作っており、そこに服用方法は食前又は食後と書いてある。そして初めての患者には「食前の方が効き目が出るのが速いと言われていますが食前でも食後でも効果は一緒です」と言って受付けに渡してもらっている。こう言うと食前に飲んでくれる患者の方が多いが、食後服用だから効果が減弱したと感じたことは今まで1度もない。



参考文献 神農本草経解説 森由雄著 源草社 


にほんブログ村