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第十一回アガサクリスティー賞に続き、今年の本屋大賞を受賞した『同志少女よ敵を撃て』を読んだ。
2月にロシアにウクライナ侵攻とあまりにもタイミングが重なってことで、逢坂氏が売り上げを戦争の被害者支援につなげたい」と、難民支援機関「国連難民高等弁務官事務所」(UNHCR)に寄付したというニュースを見て興味を持った。
私自身、ウクライナ侵攻に関してはあまりにも不勉強で、メディアからの情報を掻い摘んで知る程度なので、ロシアを描いた本作から学べる部分もあると思い、読んでみた。
かなりの長編だが、読みごたえもあるし、人物描写も丁寧で全く飽きない。第二次大戦中の独ソ戦で実在したソ連の女性スナイパー達を描いているが、ドイツとソ連の関係も学べるし、戦争における女性の役割を丁寧に描いていて、自然と主人公を応援している自分に気づく。
どんな経歴でこの作品を書けるのだろうと背表紙をみたら、この逢坂冬馬氏、私と同じ大学の15歳年下で、急に親近感が沸いたが、読み終えた時には。誇らしく思っていた。大学生の皆さんにも是非読んで欲しいと思う。
最後に、今のロシアとウクライナの関係を示唆する表現がエピローグで主人公が語っているので、参考になったから引用しておきます。
戦後、ソ連は連邦内にあった際激戦地のベラルーシとウクライナの二カ国を優遇した。国際連合でもこの二カ国は独自の議席を得ていた。半ば独立国家のような扱いは、ソ連の中で破格の待遇と言えた。(略)ロシア、ウクライナの友情は永遠に続くのであろうか。