こんにちは
 
ブログを書くのは久しぶりです。
 
一昨日 師匠と東野さんとの北九州相談会が終わり
 
熊本に戻る予定だったんですが
 
急遽予定を変更して ある男に会いに行きました。
 
その男は 先日の相談会の相談者 
 
井上 雄大 (いのうえ ゆうだい)
 
僕は 相談会の場で彼に言いました。
 
「 俺と友達になってくれ。 」
 
 
僕が38年間生きてきた中で 始めて言った言葉でした。
 
彼には壮絶な過去がありました。
 
その話を聞き 普通なら被害者意識むき出しで
 
不満やこの世の不条理を嘆くような言葉を吐いてもいいのに
 
彼はそんな言葉をただの一言も発っすることなく 
 
相談会に来ました。
 
相談内容は僕にとってはどうでもよく
 
僕は彼を知り 僕を知って欲しいと強く感じ
 
たまたま仕事が休みだったという彼に 無理やり食事をしよう
 
と 僕らしく強引に誘いました。
.
.
彼は10年前にひき逃げ事故にあった 被害者でした。
 
その事故の代償はとても大きく
 
彼の人生からとても大きくとても多くの物を奪う出来事でした。
 
彼は その事故で失ったものを一切悲観することなく
 
屈託のない笑顔で 僕とずっと酒を飲んでくれました。
 
そんな彼の事を どうしても知って欲しくて
 
ブログに書きます。
 
どうか 最後まで読んであげてください。
 
井上雄大 32歳
 
彼は 事故当時の記憶がなく 事故後の次の記憶は
 
病院のベッドで天井を眺めるところから
 
第二の人生が始まりました。
 
そして 次に会話したのが 担当医。
 
その担当医から発せられた言葉は
 
「 もう一生歩くことは出来ない。 」
 
そうです。
 
彼はそのひき逃げ事故で 脊髄を損傷し
 
もう二度と 自力で歩くことが出来ないからだとなりました。
 
 
 
僕はこの写真通りの笑顔で一生懸命生きている彼を知り
 
彼にとてつもない興味をひかれ
 
男同士の酒を酌み交わしました。
 
相談会の時
 
僕は彼の笑顔が嘘くさいと感じていました。
 
心のどこかで 蓋をしているんじゃないか?
 
そんな話をしました。
 
雄大は 「 はい あります 」
 
僕は彼に どうしてそれを出さないのか?
 
少なくとも 俺は聞きたいし きっと
 
お前のご両親は話してほしいと思うぞと 伝えました。
 
彼から返ってきた言葉は
 
「 僕の親も脊損なんですよ 」
 
僕は絶句しました。
 
「 だから 親に心配かけたくないんです 」
 
そっか。
 
僕が言葉に出来たのはこの一言だけでした。
 
彼は医者に自分の足の話をされたとき
 
一日中泣いたと言っていました。
 
「 本当に溢れるように出てくるんですよ涙が。
 
でも僕は 根があっけらかんとしてるんで 次に日には
 
笑ってました。 」 と
 
写真の笑顔で僕に言いました。
 
博多駅で待ち合わせをし 彼と合流し
 
タクシーに乗りました。
 
タクシーに乗る前に 
 
「 お前タクシー乗れるの? 」 と僕が聞くと
 
「 乗れますよ でも たまに運転手が嫌な顔をする時があるので
 
そういう時は 他のタクシーに乗ります。 」
 
僕は タクシーを止め
 
「 車いすの人が乗りますけどいいですか? 」 
 
運転手さんは快く返事をくれました。
 
雄大が助手席に乗り 車いすをトランク乗せようとしていると
 
どうしても扉がしまらなくて タイヤを外す必要がありました。
 
僕がその作業に手間取っていると
 
横で運転手が 「 チッ 」 と舌打ちをしました。
 
瞬間湯沸かし器の僕は その瞬間殴り倒してやろうかと思ったけど
 
やめました。
 
雄大が笑顔だったから。
 
店につき 酒を飲みながらいろんな話をしました。
 
僕は言いました。
 
「 あのさ 俺は自分の事を話して 自分を安売りするような事は
 
大っ嫌いなんだけど でもさ 俺はお前に俺を知って欲しい。
 
だから 俺の話を聞いて。 」
 
雄大は いつもの笑顔で 快く返事してくれました。
 
僕は僕の話をし 雄大はずっと聞いてくれてました。
 
僕が何を大切にしているか どんな生き方をしてきたか
 
そんな話をたくさんしました。
 
「 氷室さんは 見た目こわそうだけど 意外とチャーミング
 
なんですね 」
 
何て言いながら 聞いてくれました。
 
一通り僕の話が終わり 僕は雄大に雄大の事を話してもらいました。
 
どんなことで困るのか?
 
どんな思いをしたのか?
 
本当にすべてをさらけ出せる仲間はいるのか?
 
いろんな質問をしました。
 
雄大は僕が何を聞いても答えてくれました。
 
普段の生活はどんなふうにしているのか?
 
トイレなどはどうするのか?
 
コントロールが効かないから 漏れちゃったらどうするのか?
 
どんな時に困り どうしているのか?
 
彼が色んな話をしてくれるたびに僕は聞きました。
 
「 お前苦しくないの? 」
 
彼は何度聞いても
 
「 全然大丈夫ですよ。 笑ってれば 」
 
彼が自分の人生で最も大切にしている事は
 
”” 笑顔でいること ””
 
笑ってれば忘れられる
 
笑ってれば誰かが助けてくれる
 
笑ってれば 一人じゃない。
 
彼は笑っている事で 自分を保ち 成長し生きていました。
 
話の中 彼が住む 北九州の小倉から家までの時間を聞くと
 
「 歩いて20分位です 」 と言いました。
 
その言葉を聞いて しばらくしてから僕は聞きました。
 
「 あのさ お前さっき歩いてって言ったけどさ
 
お前にとって それは歩くという事なの? 」
 
「 そうです 僕にとっては歩くということなんです 」
 
一緒にトイレに行きました。
 
店の中のトイレは狭く 入れなかったため そのビルのトイレに行きました。
 
僕はてっきり 障害者用のトイレに行くのかと思ったら
 
彼は 男子の小便器の前で止まりました。
 
 
彼は ズボンから透明の袋を取りだし
 
「 これに溜まるんですよー 」 と言いながら
 
半分以上も溜まっていた小便を便器に流していました。
 
「 お前さ 変な話うんこはどうするの? 」
 
「 出ちゃうといけないんで 家でしてきたから大丈夫です。」
.
 
事故後のお金の話をしました。
 
「 お前さ 事故でいくらもらったの?」
 
「 保険屋さんが頑張ってくれた うん千万円入りました
 
そのお金で家を買い あとは 人にお金を貸したんで
 
もうお金はないんですー 」
 
そのお金を貸した人は 彼ととても縁の深い人でした。
 
「 三分の一は返って来てるんですよ。
 
返ってこなくてもいいんですよ。 元々なかったお金だし 」
 
” 何いっとるんだお前は! お前はそのお金を手にする為に
 
物凄い代償を払っただろ! ”
 
僕はそう言いたかったけど 言わずにこう聞きました。
 
「 もう 肚は括っとるんだな? 」
 
彼は また笑顔で はい。 とだけ答えました。
 
「 どうしてそこまでするの? 」
 
「 僕の居場所だし みんなの居場所を無くしたくないからです 」
 
そっか やっぱりすげーなお前は。
 
僕は彼の話を聞く度に 彼を尊敬する事しかありませんでした。
 
肚を括ってる男に余計な話は野暮
 
「 お前さ 次転職することがあれば 絶対にうちに来い 」
 
「 僕なんかで良いんですか? 」
 
「 お前だからいいんだがや! 」
 
彼は 昨日フェイスブックに記事を投稿していました。
 
その内容は 一昨日の相談会で僕が彼にぶつけた想いでした。
 
自分の進んできた道程を肯定してもらえると安心というか自信にもつながる。
 
自分の進んでいく道 自信を持っていこう。
 
自分が笑って進めるように。
 
僕は相談会の場で彼にこう言いました。
 
「 お前は何一つ間違ってない。 ここにいるだれよりも
 
お前が一番だ。 俺は久々に俺より格好良い男を見た。
 
だからお前はそのまんま生きてけ 」
 
彼にはちゃんと伝わっていました。
 
散々話 食い 飲んで 最高の酒でした。
 
僕は最後に雄大に聞きました。
 
「 もしな お前がそういう体になる事を
 
選んで産れてきたとするのなら
 
いったい 何の為? 」
 
彼は こう言いました。
 
「 知ってもらうためです。」
 
今まで当たり前のように有ったものが
 
ある日突然無くなる。
 
そういった経験をしてきた人は 
 
もう二度と這い上がれなくなる事もあるそうです。
 
そんな自分と同じような境遇の人達をたくさん見てきた彼は
 
自分が笑顔で外に出て
 
自分の笑顔で人と接し
 
自分が多くの人と触れ合う事で
 
自分の様な人たちの知ってもらい
 
自分の様な人たちが一体何を求めているのか?
 
そして
 
自分と同じような人たちに 勇気を与える為だと
 
説明してくれました。
 
「 その為に 僕は笑顔でいます 」
 
一昨日僕が疑った彼の笑顔は
 
本物の笑顔でした。
 
どうして 人を見抜く力がずば抜けている僕が見抜けなかったのか?
 
答えは簡単でした。
 
僕より彼のが大きな人間だったから。
 
僕は 自分の長所として ” 負けを認める力 ”があると
 
自負しています。
 
久々の完敗でした。
 
でも
 
とても気持ちよく すがすがしい負けでした。
 
彼の生きる力 彼らの生きようとする力は
 
僕の眼には とてもまぶしく そして太陽の様に大きなものでした
 
彼は最後の最後までずっと笑顔でした。
 
「 始めて新幹線乗りました! 」 という彼を見送り
 
別れる事となりました。
 
 
 
四つも下の 男に
 
四つも上の男が惚れました。
 
ここまで読んでくれたみなさん
 
どうか 雄大の想いを受け取ってあげてください。
 
彼の生き様を知ってあげてください。
 
そして彼が望むことを叶えてあげてください。
 
それを伝えたくて ブログに書きました。
 
 
最後に雄大
 
昨日も言ったけどさ
 
今度 家に遊びに行くな
 
お前の得意な料理を楽しみにしとるわ
 
また 色んな話をしような
 
俺さ
 
お前に出会えて本当に良かった。
 
お前という格好良い男がいきていてくれて
 
本当に神様に感謝してる。
 
同じことだけど もう一回だけ言わせてくれ
 
泣きたかったら泣いていいんだぞ
 
苦しかったら苦しいと言っていい
 
誰かにぶつけたかったら 俺にぶつけろ
 
一人でいられない夜が来たら 俺を呼べ
 
俺は何があっても お前の味方
 
昨日 親友と 信友の話したな
 
俺はお前を信じてる
 
だから お前も俺を信じてくれ。
 
俺の人生の価値は 格好良いか悪いか
 
お前は 笑っているかいないか
 
そう言ってたな
 
お互い大切にしたいものは違うけど
 
それぞれの人生を 一生懸命に生きような。
 
ありがとう。
 
お前が出会った 日本一の信友
 
氷室優 より。