DIM / the GazettE | 夕暮れビジュアル鑑賞会

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V系を中心にロック、アイドル等々の、音楽レビュー処

 こんちわ。半年以上ぶりです。

 東京にきて早1年。私はというと残業代がまあまあ稼げたので、10本ぐらいライブも行けて楽しく過ごした反面、どうにも仕事が合わず少し病んでしまって、仕事やめました。そんで久々にレビュー再開してみようかなーと。丁度4/1だし、有給消化で暇だし。次の仕事決まってないけど。

 今回はガゼットの続きです。昨年末、2年の沈黙を経て待望のライブが開催され、今年3月には結成20周年ライブもあり、どちらも参加してきました。それはもう素晴らしくてね…周年ライブの最後には泣いてしまうほどに。ってことでガゼットより、キングレコード時代最後のアルバム『DIM』です。

 
 

 

 

DIM』

 

01.「剥離」

 ルキ原曲のインスト。どことなく東洋魔術めいた女声と不穏な効果音。無機質なリズムにアコギが絡み、アルバムタイトルのDIM=ほの暗いを体現したオープニング。

 

02.THE INVISIBLE WALL ★★★★☆

 ルキ原曲、PVが付属されたリード曲。音はヘヴィかつ陰鬱ながら、3拍子のリズムにどこかノスタルジックな香りもするシンセとメロディが秀逸。イントロの麗のタッピングフレーズがとても好き。サビメロの美さと重苦しいバンドサウンドの対比が、これまたアルバム全体のイメージを表した、リードとなるも納得の良質な楽曲。

 

03.A MOTH UNDER THE SKIN ★★★

 葵原曲。ベースソロから開幕するグルーヴィな楽曲、ハネたリズムながらこちらも音は重い。どこか機械を思わせる手数の多いドラムに、ギター陣もエフェクティブなトーンで無機質に攻めつつ、その間をベースと女性ボーカルが躍動する。

 歌詞は確か美容整形についてと語っていたような。僕は大いに賛成派です。

 

04.LEECH ★★★☆

 シングルの頁参照。アルバムに合わせたミックスがされ、コーラスとギターが増えてるような。シングル版の音源が今手元に無いのでちょっと分かりません。この流れで聴くと待ってましたの爆発力が気持ち良いですね。

 

05.泣ヶ原 ★★☆

 ルキ原曲。演歌めいた雰囲気を醸し出すダークバラード、琴も登場し和のテイストも強い。過去の楽曲でいうとテーマは違えど「十七歳」や「絲」の系譜。隙間なく言葉を詰め込んで呪詛めいたAメロや、サビメロそのものは良い。ただただ重苦しく、7分越えなのが辛い。後半の転調や、往年のV系を思わせるメロディアスなベースラインは聴き所。ラストは"あのバンド"っぽい。

 

06.「エ リ カ」

 不穏なSE。ほんとにただのSE。

 

07.HEADACHE MAN ★★★☆

 シングルの頁参照。「泣ヶ原」のおかげで気持ち良さ3倍。

 

08.紅蓮 ★★★

 シングルの頁参照。再録されておりメロディが一部違ったりするけど、これもシングル版手元に無いので詳細は覚えてないっす。

 

09.「子宮」

 SE。「紅蓮」のテーマを引き継ぎ、子供の鳴き声を加工したもの。再びダークなゾーンへ。

 

10.13STAIRS[-]1 ★★☆

 麗原曲。浮遊感と不穏さを付加するシンセに、極悪なギターの歪みが重なるインダストリアルメタルな楽曲。麗のエフェクティブなフレーズやリズムなんかは気持ち良いけど、音がまだ軽い。ライブではカッコ良いので、この頃ではまだ力不足な感じ、特にルキのデスボなんかは。どこか雅-miyavi-の一番最初のアルバムっぽい。

 

11.DISTRESS AND COMA ★★★☆

 シングルの頁参照。これも曲順によってメロディの良さが映える。

 

12.「感触」

 SE。ピアノとデジタルリズムがただただ物悲しい。

 

13.白き優鬱 ★★★★

 葵原曲。アコギとストリングスをメインとした、タイトル通り白くて哀しいミディアムバラード。どのパートも丁寧にフレーズを紡ぎ、儚く美しいメロディを更に盛り上げる。同じ原曲者だからかリズムや展開が少し「GENTLE LIE」と被るのはご愛敬、どっちも好き。割とファン人気の高い楽曲で、それも頷ける良曲。ギターソロも非常にメロウで良い。

 

14.IN THE MIDDLE OF CHAOS ★★★☆

 ルキ原曲。ガラッと雰囲気を変えてザクザクとした刻みのハードなメロコア楽曲。メンバー自身もこの手の洋楽・邦楽をルーツとしており、全英詩なのも相まってあまりガゼットの独自の魅力を感じないのが惜しい。エルレ感。心地よく歪んだベースと性急なサビのドラミングが気持ち良い。

 

15.「朦朧」

 SE。ノイジーな声を重ね、次の楽曲にテンポよく雪崩れ込む。

 

16.OGRE ★★★☆

 ルキ原曲。複雑なリフで爆走とビートダウンが印象的な暴れ曲。男臭いメンバーコーラスと押し寄せる轟音ギターが心地良い。この手の楽曲は単調なのが多かったけど、ギミックと心地よさが混ざり合い進化を感じさせる。

 バンドスコアに「複雑怪奇、難攻不落の楽曲」みたいな(うろ覚え)紹介されててちょっと面白かった。

 

17.DIM SCENE ★★★

 麗原曲。ストリングスと不協和音っぽいアルペジオが陰鬱なダークバラード。これまでの楽曲の歌詞のキーワードを拾い、アルバムを総括。余りにも暗すぎるのだけど、Bメロからメロディは哀愁を帯び、バンドサウンドも体温を上げ、意外にも心地良さをもたらし美しくクロージング。

 

総評 [お気に入り度★★★/おすすめ度★★☆

 4枚目のフルアルバム。SE5曲を含めた全17曲、タイトルが示す通り非常に薄暗く陰鬱さが際立ち、非常に満腹なボリューム感。アルバム途中のSEってもの自体が本来あまり好きではないんだけど、一つの映画のように場面転換に上手く効果をもたらしている。"あのバンド"っぽいけど。

 前作より楽器隊のプレイは格段にレベルアップし、楽曲単位のギミックにも工夫が凝らされている。そして、なにより「激しい」というイメージは十二分にあったものの、ここまで「ダーク」な雰囲気が全面に出た作品は初めて。アルバムの統一感は過去一。

 

 ただ、バンドサウンドの重みが楽曲に追い付いていない印象、ボーカルもね。個人的な好みからも結構外れてしまった作品。かっこいいのだけどね…。飛びぬけて好きって曲があまり無い。結局日本人的なキャッチーさが足りないと満足できないので。

 ちなみに初回盤にはPVと、珍しくレコーディング風景を記録したDVDが付属。ライブ以外のそういった映像は珍しいので非常にありがたい。すっぴんNGなので大変そうだけど(笑)、毎回あると嬉しいんだけどねえ。

 

ベストソング / THE INVISIBLE WALL