Suite Novermber / TETSU69 | 夕暮れビジュアル鑑賞会

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 どうもー。久々の投稿となってしまいました。最近またCDとライブDVD買い漁ってまして、5~6月中に40枚くらい買ったんじゃないだろうか。

 

 

 今回はラルクのtetsuyaが2001年にTETSU69としてデビュー、翌年発売された1stアルバムを。8曲というフルともミニともいえないボリュームで、聴きやすく価格も押えたかったのだとか。

 ラルク好きになった当時にレンタルしたのですがその時は「んー???」という感想しかなく(笑)、別媒体に保存すらせず返してしまったので聴き返すこともなく。あれから15年以上経って買い直しました。今僕は何を思うのか。

 

 

Suite Novermber』

 

01.WHITE OUT ★★★

 後にシングルカットされる柔らかなポップロック。低音で落ち着いたAメロから、お得意のキャッチーなサビメロへ。コーラスアレンジもラルクと変わらず印象的できれい。2番Aメロのリズムアレンジや、間奏のアコギフレーズが好き。冬の白さ満天の心地よいアレンジ。

 

02.wonderful world ★★★

 デビューシングル。まさかの打ち込みリズムの穏やかで可愛らしいポップス。Aメロはどことなくスピッツぽさもある浮遊感、意外にも重めのディストーションギターが登場するもサビはこの上なくポップ、紛うことなきJ-POP。その辺好みの分かれるところですが、微妙なアーミングでラフさを残したギターもいい味を出しているし、とにかくメロディのキャッチーさは最高峰。

 

03.Pretender ★★★

 同じタイトルの曲が大流行中ですね(笑)。雰囲気は一転しダークなほんのりデジロック路線。辛辣でシニカルな歌詞は相変わらず。ラルクでやってもおかしくないような退廃的なサウンド、しかしそうなるとボーカルの歌唱力に課題が。どうしても浅く聴こえてしまう。アコギやストリングスアレンジが非常にかっこいいし、滑らかで安っぽくならないサビメロも良い。

 

04.TIGHTROPE ★★★☆

 「wornderful~」とc/w。続いてもデジロック路線、よりインダストリアルでノイジー。アレンジとギターにVAMPSでおなじみのK.A.Zが参加、曲自体もVAMPSがやってておかしくない艶やかかなヘヴィロック。ギターサウンドがかっこいい!AメロBメロはノリよく、サビメロはダーク路線で哀愁もあって良い!クリーントーンのギターソロも斬新。しかし歌唱力…。

 

05.蜃気楼 ★★★★

 2ndシングル。またもシリアスなデジロック路線、ただこちらは疾走感満点かつ最もヘヴィ。ラルクで発表する予定だったらしく、アレンジこそソロらしい打ち込み中心なものの、ダークなサビメロの高揚感が最高。重厚感あるギターの刻みも良いし、ベースソロもパンチが効いてる。

 

06.SCARECROW ★★★☆

 切ないピアノロック、無機質に刻み続けるギターが印象的。後にラルクで発表する「砂時計」と近いフレーズがところどころに。僕はtetsuyaのこの手の楽曲が大好きで、この曲もそれに漏れることなく好き。サビはどことなく80年代ムード歌謡的な湿り気と、90年代V系的ダークさも感じる。好きだけど絶妙に盛り上がりどころのない曲。

 

07.empty tears ★★

 まさかのベッタベタのクラシカルメロディを持ったバラード。ワルツのリズムに美しいストリングスはMALICE MIZERというかLAREINEな感じ。いや宝塚か。メロディは非常にとっつきやすく、打ち込みドラムのミスマッチ具合も面白い。これも曲の起伏に欠けるか。

 

08.15 1/2フィフティーンハーフ ★★★

 3rdシングル。打ち込みと軽快なバンドサウンドが癒合した、透明感あるポップロック。ゆったりと広がるサビが心地よい。後半にかけ力強さを増しどんどん盛り上がる展開も良い、メロディはもちろん全編良い。内容はきっと志半ばに休止してしまったラルクのことでしょうか。そういえばアレンジは亀田誠治、奥行きあるサウンド構築はさすがの一言。

 

69.TEZMANのテーマ ★★★

 9~68曲目の無音トラックの後収録されているボーナストラック。インスト風楽曲、アメコミのOP的な感じ。不安を煽るピアノと性急なドラム、刑事に追われる殺し屋ができてきそうな(笑)。完全にインストではなくサビ的なパートではボーカルも。普通にかっこいい。

 

 

総評 [お気に入り度★★★/おすすめ度★★★

 うん、良かった(笑)。ラルクのtetsuyaが作る楽曲が悪いはずがなく。当時「wonderful~」だけのイメージで聴いたところ意外とダークめ路線も多く、その点あまり耐性がなかったため全然聴かなかったのですが、今聴くと真逆。シリアス系こそメロディの良さが際立ってるし、デジタルなアレンジも上手くかみ合ってる。

 ポップに始まりすぐにダーク路線に入るとそのままラストまで行く感じ。フルアルバムだったらもうひと盛り上がりあったのだろうな、そこは惜しいところ。ただ楽曲・アレンジのふり幅、メロディの良さは折り紙付き。

 

 歌唱力についてはまあ…メインボーカルを取るには魅力が足りないなと。あまり声に表情がないタイプで、歌い方も一辺倒。

 またtetsuyaが力を入れたのはベースよりもギター。全曲でギターを演奏、多分tetsuyaが弾いてるかな?と思うギターソロも多い。ただラルクの「Time goes on」もそうですがボーカルと同じく本業でないため、どうにも表現力に欠けのっぺりとした演奏。さすがに微妙と言わざるを得ない。

 

 1stアルバムではあるけど楽曲は申し分なく、かえって本業でないスキル面が浮き彫りになってしまっているかな。ポップ路線は結構ハマってるんだけどね。最近のも聴いてみよ。あとアルバムタイトルが良いですよね。

 

ベストソング / 蜃気楼