SCUMS / NIGHTMARE | 夕暮れビジュアル鑑賞会

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 今回はNIGHTMAREです!物凄く好きなんですがレビューは初ですね。いつかはしなきゃなと思いつつあの震災の日を迎えたということで、仙台出身の彼らについて書こうかなと。

 地元東北が被害に遭い、精力的に募金活動を続ける彼ら。基本的にはおバカなんだけれど、地方出身者だけあって地元愛が大きいのはなんだか微笑ましくて応援してしまう魅力がありますね。

 音楽的には昨今珍しくなった王道のヴィジュアル系。泣きメロ、クサメロの宝庫で、ぶっ飛んだネタ曲こそないもののメロディ・演奏の安定感は抜群です。

 

 

 っていう記事を4年前の3月12日に投稿していたようです、わたくし(笑)。流石にきついので加筆。

 

 

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SCUMS』

 

01.My name is "SCUM" ★★★☆

 咲人作曲。ゴシック要素の強いハードナンバー。小曲ですが強烈なインパクトを残す、ライブでは屈指の暴れ曲。潔さが心地よい。

 

02.ASSaulter ★★★☆

 咲人作曲、リード曲のひとつ。キャッチーなサビと、ギラついたダブ系シンセが印象的。前作にはなかったタイプのストレートな疾走ロックナンバーで爽快。柩のタッピングも新境地。

 

03.mimic ★★★★

 咲人作曲の19thシングル。ヘヴィリフにダンサブルな4つ打ちを軸に、ノイジーなギターがうねる。シンコペーションを活かした疾走感あるBメロが実に"らしい"けれど、サビではメロウに美しく聴かせる。派手な楽器隊の中でもサビのドラミングが特にかっこいい。

 

04.riddle ★★★★☆

 RUKA作曲。左右から飛び出すトランスシンセが強烈に耳に残るも、バックではバキバキの高速スラップと高速カッティングが飛び出す。そんなファンクなイントロからAメロはラップテイスト、間奏ではビートダウン、ジャイアニズムシリーズの如きヘドバンパートなど、昨今無かったミクスチャー感。とどめはサビのRUKA節ともいえる哀愁メロ!かっけーわ。

 

05.雨と夜に堕ちて ★★☆

 咲人作曲。不穏なアルペジオの絡みと低音ボーカルが妖しく進行。2段構えのサビでは穏やかに広がりを見せ、後半は哀愁もプラス。淡々として洋楽ライクな一面があるも、不思議な高揚感が癖になる。

 

06.DISSEMBLE ★★★

 Ni~ya作曲。彼らの中でも珍しいツーバス連打の疾走曲。正統派ハードロックながら、メロディはいつも通りの哀愁を纏い疾走。コンパクトにまとまっており爆発力は十分。歌詞はYOMIの闇が垣間見れる。夜のお店行くのをを咎められたとかでしょうか(笑)。

 

07.ERRORs ★★★★

 柩作曲。引き続きハードに、こちらはタテノリでヘドバン必須のリフ。でもBメロは7拍子?、サビでは3拍子になりクラシカルでクサいメロディを聴かせる。「mimic」に近い感触。YOMIの声質にもマッチしてメロディの気持ち良さも倍増。

 

08.終わる世界の始まりは奇なり ★★★

 RUKA作曲、リード曲のひとつ。まだまだハードに、今度はけたたましいトランス系シンセと共に爆走。前作の「swallowtail」異常にデジタル色が強く、最後までテンションが高い。普段のドラマチックさはどこ行ったと思うほど、いい意味で終始騒がしい楽曲。

 

09.Droid ★★★

 咲人作曲。様々なサンプリング音を絡ませ無機質でインダストリアルな印象もあるけど、サビはグルーヴィで生々しい。HIP-HOPなパートも登場し、ミクスチャー通り越してプログレとすら感じる。全編にわたりファンキーなベースと、ギター隊のバトルソロも楽しめる。

 

10.404 ★★★★☆

 咲人作曲。ギラギラしたシンセと高速4つ打ちビートのリズム隊。メロディは非常に歌謡的で聴きなじみが良く、コーラスの掛け合いもライブのお祭り騒ぎが想像できる。エフェクティブで摩訶不思議なギターも魅力だけど、ディスコチックにグルーヴし続けるベースが主役。

 

11.I'm not ★★☆

 咲人作曲。ワイルドさのあるどっしりとしたイントロがまた新しい。洋楽というかスタジアムロックな曲調はあまり似合わなかったけど、バンドの成熟が伺える。咲人の時折垣間見せるナイーブな歌詞を、優しく穏やかなメロディに乗せて歌い上げる。

 

12.Deus ex machina  ★★★★

 RUKA作曲の20thシングル。アコギと笛系シンセの音色が、耽美でメランコリックな世界観を構築するミディアム曲。グルーヴィなバンド隊に、ダウナーでメロディアスなサビが秀逸。間奏後は一時テンポアップするも、再びサビへ。耽美で退廃的でドラマチックな楽曲で、どこか救いようのない空気を纏ってアルバムは一旦終幕します。

 

13.BLACK OUT ★★★★☆

 咲人作曲、通常盤のみのボーナストラック。妖しげなメロディに、サーフロックやサイコビリー的なギターが絡み合い奇妙な世界。ですがサビでは大胆に転調し、得意技の流れるようなクサメロと哀愁が爆発。バックのチェンバロなんかまるでMALICE MIZERのようで劇的。ぱっと聴きは地味だけど非常に聴きどころが多い。

 

14.BEHIND THE MASK ★☆

 RUKA作曲、通常盤のみのボーナストラック。ひたすらツタツタと爆走し加工したボーカルも登場、ひと世代前のV系感がある暴れ曲。あまりメロディアスではなく好きじゃないんですが、かなり中指立てた歌詞とハードコアな楽曲は久々。ジャイアニズム枠ですかね。

 

 

総評 [お気に入り度★★★☆/おすすめ度★★★

 前作がジャケットイメージもあって白くまっさらなイメージがあるのに対し、今作はやけに負の要素が渦巻く作品。ポップさの類は消え、シリアスでハード。とはいえ電子音が増え実験的な曲調も多く、バラエティさはある。

 歌詞は今思うとやっぱり疲れが見える、全員暗くて大半が負の感情のような。元々そうというばそうなんですが。

 

 今作はサウンド面で咲人要素が強い印象。エフェクティブで変態的なプレイはさらに磨きがかかり、楽曲の世界をナイトメア独特の物にしている。そしてリズム隊が実に力強く頼もしい。昔は軽めだったRUKAはメタリックで重く、Ni~yaはスラップを多用しアレンジの多様さに大きく貢献。かっこいいです。

 柩は…うーん。元々プレイで派手なことをする人ではないんですけど、今作もバックに徹していて寂しい。良く言えば堅実。ソロとか十分上手いんですけどね。音色も強めの歪み一辺倒なイメージも強い。咲人が大分おかしなことやってるんでバランスを取ってはいますけど。

 

 前作同様バラードがなく全体的に冷たくて重い傾向の音。でもしっかりと熱を感じる楽曲。メロディアスかつハードなV系を求めている人には刺さるはず。

 

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