シロクロニクル / Plastic Tree | 夕暮れビジュアル鑑賞会

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 はーい今回もPlastic Treeです。すいませんねー。

 次は何にしようかとデータずらーっと見てたら、『シロクロニクル』って何入ってたっけ?ってぐらい頭に入ってないアルバムがあったので(笑)。ここ数年気に入ったバンドあると大量にCD買ってはPCにぶち込んでiPodに移して、パッと聴いて好きな曲ばかり聴くっていう習慣がついてしまったもので…

 

 で、曲目見てて思い出したのですが、初めて聴いた曲は「リプレイ」じゃなかったです(笑)。CDでーたって雑誌に「バカになったのに」のインタビューが載ってて、その言葉のインパクトが妙に気になって聴いたのが最初でした。あと顔が良かったので。この時はほぼノーメイクだったんじゃないかな、V系とは認識してなかった。

 

前回レビューした『トロイメライ』から1年後のアルバム『シロクロニクル』ですが、本作からまたメジャーレーベルからの発売です。

 

 

 

『シロクロニクル』

 

 

01.イロゴト ★★★☆

 「痛い青」よろしくベース始まりのずっしりとしたイントロ。遅くも早くもないテンポに、なめらかな優しいメロディが不思議な心地よさ。サビも変に盛り上がりすぎず、歌詞とリンクするように溶けていくような。骨太なベースから正曲かと思いきや竜太郎曲なんですね。プラのアルバム1曲といえばこうだよねっていう曲調かと

 「イロゴト」って平たく言うとセックスですけど、歌詞もそのことですかね。でも全く下世話な方向でなく、オブラートの包み方が日本人というか竜太郎らしい。

 

 

02.ナショナルキッド ★★★☆

 こちらがほんとの正曲。ヘヴィな演奏や小ばかにしたようなAメロなんかは前作の「千葉市、若葉区、6時30分。」と似てますが、よりパンキッシュで聴きやすい。サビでは歯切れよくキャッチ―で好きです。ぐちゃぐちゃに激しくてもこういうサビがあると好きなんですけどねえ。

 タイトルは同名の特撮番組からとったのかな?ものっすごい有名らしいですがちょっと年代違いすぎてわかりません。歌詞もよく分かりません

 

 

03.水色ガールフレンド ★★★★☆

 竜太郎作曲で亀田誠治プロデュースのシングル曲。「ビニール傘の花を閉じた」って冒頭からもう竜太郎ワールドで、歌詞の載せ方がとても好き。雨って嫌なはずなのに、彼女と会う日は水たまりから跳ねる飛沫も愛おしく思えるような、アップテンポだけどじんわり心温まる曲。

 音自体はほんとに今でいうロキノン系というか(最近の高校生とか使うのか知りませんが笑)、キャッチーなJ-ROCK。男目線の歌詞だけど、なんとなくファン以外の女の子も気に入りそう、爽やかさと可愛らしさを併せ持った曲。中高生の時よく聴いたな。

 

 

04.もしもピアノが弾けたなら ★★★☆

 豪快なユニゾンリフから始まるのは、なんと西田敏行の大ヒット曲のカバー。しかも亀田誠治プロデュースのシングル曲。当たり前ですがメロディは良い。

 しかし原曲とかけ離れた青春パンクなサウンド(FLOWの贈る言葉的な)はネットを見る限りかなり賛否両論。シンプルでストレートで泥臭い曲って、竜太郎の儚げさと激情の両端合わせ持った声とも合うと思うので僕は好き。その辺は『トロイメライ』で顕著ですが。

 

 

05.サンデー ★★★★☆

 ポップなバンドサウンドに珍しくシンセが主役として重なる正曲。穏やかで気の抜けたボーカルは可愛らしくも、サビになるとぐっと切なく。軽めの曲だけど、ずっしりと胸に残る曲。

 サビの「世界が終わる日が休日ならいいな」なんて言葉だけ抜き出すと大げさに聴こえますが、何も起こりそうもない穏やかな日のふとした感情を、歌詞もある様に散文的に歌にする。不安はたくさんあるけど君といるだけでまあいいやって、純粋な気持ちでとらえてまったり聴くときっと楽しめる曲。

 

 

06.星座づくり ★★☆

 冒頭からアキラ作曲らしい切れ味鋭いギターから始まるも、続くイントロでは軽やかさも顔を出す。ボーカルも終始軽やかに、サビも過剰に盛り上がりはせずさっぱりとしたポップロック。毒のないメロディとノイジーなギターのアンバランスさが面白い。アルバム曲で唯一の亀田誠治プロデュース。

 

 

07.バカになったのに ★★★★

 これです、初めて聞いたの。邦ロック界隈ではたぶん有名なTheピーズのカバーで、亀田誠治プロデュース。「もしも~」との両A面で、こちらもシンプルなパンクアレンジ。原曲はもっとテンポが遅いけど、ハマってるんじゃないかな。ただPlastic Treeのそれまでの毛色とはやっぱり違うし、昔の曲を知ったうえで聴くと「なんでシングルなんだろ」とは思いますけど(笑)

 

 

08.秘密のカーニバル ★★★★

 正作詞作曲、跳ねるリズムにノイジーな効果音とギターがにぎやかに彩る。急にBメロで音数少なくなるも、ポップ感満点で弾けるサビではきっと手を振って飛び跳ねたくなるはず。

 前作に引き続きNARASAKI氏がアレンジで参加しているからか、様々な音の遊びで飽きさせない。さりげないBメロのキーボードが好き。

 

 

09.ピカソごっこ ★★★★

 久々に登場のハードな曲ですが、スピード感に溢れ聴きやすい。歌詞はまさにピカソになりきった狂気的な面が見えたり、ボーカルは終始エフェクトがかかってハードコア的な音作りですが、サビは爽やかに気持ちよく駆け抜ける。このメロディは結構癖になる、と思ったらアキラ曲。やっぱりこの人のセンスが一番琴線に触れるのだろうなあ。

 

 

10.バリア ★★★

 引き続きアキラ作曲のハードナンバー、NARASAKI氏参加のこちらはシリアス色強め。Aメロの展開なんか同氏作曲の「散リユク僕ラ」を彷彿とさせる。Bメロ?の清涼感あるメロディ、伸びやかに歌い上げるサビ、ザクザクと切り裂くギターの対比が面白い。かなり好きな系統の曲ですしBメロまでの流れは大好きなんですが、サビが自分が期待するメロディとはちょっと違ってしまって惜しい。

 歌詞もかなりシリアスめ。クラスメイト、バリア、アスピリン、流れる血…思春期独特の不安定な感情が痛々しく刺さる。

 

 

11.最終電車 ★★★

 アルバムラストは竜太郎作曲の弾き語りから始まるアコースティックナンバー。リズム隊もにすぐ加わるのですが、全編アコギだったりハーモニカも交えてフォーキーな味わいも強い。アレンジらしいアレンジもなく、シンプルに歌を届けてアルバムを締めくくる。

 自然と手拍子したくなるような普遍的な楽曲も、プラが歌うことでより切なくノスタルジックに響きますね。

 

 

 

総評 [お気に入り度★★★☆ おすすめ度★★★★

 いいじゃないですかこれ!

 とてもキャッチ―で聴きやすい。全編わたってポップだけど、言うほど甘くもなく、そのバランスが結構好みな作品。ハードな曲もあるけど、ずっしりと陰鬱な雰囲気は今作には皆無、いい意味でサラッと聞き流せる軽さとスピード感がある。全曲じゃないけど亀田誠治が参加しているのも大きいのかな。

 

 難点があるとすれば、そういったプラの陰の部分が大好きな人にとっては物足りないアルバム。前作の正曲はずっしりハードな曲が多かったけど、今作はすべてキャッチー、「サンデー」「秘密のカーニバル」なんかすごい可愛いし。

 初心者にもやさしく普遍的なポップロックやパンクに寄った作品、昔からのファンは当時どんな気持ちだったのだろう?僕なんかはプラのどの面も好きなので、こんな作品もいいなあ~とのんきに思うだけですけども。

 

 とりたててパワーのあるキラーチューンってものも別にないんですが、「水色ガールフレンド」なんかはもっとヒットしてもよかった曲だと思うんですよねー。掛け値なしにいい曲だと思うし人に薦めたい一曲。

 

ベストソング / 水色ガールフレンド