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不思議なことに、悲しみは伝染する
似たような悲しみを抱えた人間のニオイは嗅ぎ分けることが出来る
何故か、似たような悲しみを抱えた人間同士には、コミュニケーションをとる方法として一番に挙げられる言葉は必要ない
彼女は誰が見ても強い
でも私には何となく分かる
その強さが見せかけだけのとても壊れやすいものだということ
彼女の頭にそっと触れる
それだけで悲しみは伝染し、互いに共鳴する
彼女の目からは自然と涙が溢れる
私の悲しみも一気に流れ込んで、また彼女の悲しみも私に流れ込む
上辺だけの「大丈夫」なんて言葉では得体の知れない悲しみを拭えないことを彼女と私は知っている
何かに対して本物の絶望感を抱く時、言葉なんて何の意味も持たない
触れるだけでいい
それだけでお互いの悲哀や絶望を全て分かち合うことが出来る
彼女に触れたのは無意識だった
でもあの時確かに、私は彼女から自分と似たようなニオイを感じたんだ
それは周りにいる誰もが気付かない
絶望感に打ち拉がれている人間特有の感覚なのかもしれない
