「異変に気づく」 | 現役スポーツアナウンサーから学ぶ、スポーツ実況に特化したアナウンス講座! 

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野球・サッカーの実況歴は各1000試合以上、競馬実況数は15000レースを超えています。数多くのシビアな現場を経験してきた現役アナが「喋るスキル」を通して、貴方の才能をアッという間にパワーアップします!

火曜日は甲子園で「阪神vs広島」の実況を担当しました。

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メッセンジャーの好投で2対1の勝利、来日初の2ケタ勝利です。

勝因は、3回表の広島の攻撃を1点に止めたことだと思います。

この回、あるボーンヘッドで1死満塁の大ピンチになりました。

1死1、2塁で東出の打球はセカンド頭上を襲うライナー!

平野がジャンプするも一歩及ばず・・・

ところがキャッチされると思った1塁ランナーのバリントンは2塁へ向かうのが完全に遅れました。

しかし、ライトのマートンは気づかずホーム方向へ送球・・・

2塁へ投げればアウトのタイミングでした・・・

1死満塁と、2死1、3塁は大きな違いです・・・。


ただマートンだけが気付かなかったわけではありません。

僕も気づいていませんでした。

2塁ランナーの石原がホームに向かうかどうかに注意を払っていたからです。

解説の大熊さんの「あぁっ!」という声で異変に気づき、マウンド付近にボールが来た頃、ようやく2塁に到達するバリントンを確認しました。

「僕らはグランド全体を見渡せる位置から観てるから気づくけど、選手はわからないもんですよ」と大熊さん。

本当に優しい方で、いつも選手をフォローします。


実況と解説者は「同じ試合」を観て放送をしていますが、必ずしも「同じ場面」を観ているとは限りません。

上記のシーンでも「得点」を意識する実況者の僕と、外野手出身で守備コーチも務めた大熊さんでは「注目する場面」も違うわけです。

そこを意識して、解説者の「あぁっ!」に気づき、何が起こっているかを確認することも実況者としての大切な仕事です。

どんな職種でも「何に気づくか?」が勝負の分かれ目になることも多いですね!


マートンの気づきが遅れたミスを、鳥谷の好プレーとメッセンジャーの踏ん張りで勝利を呼び込みました。

そして水曜日の「連勝」に繋げましたね!

「Vへの兆し」と受け取りたいものです!


以上、スポーツアナウンサー寺西裕一でした。








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