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 水曜日の夜、大阪で飲み会に参加しました。


関わりの深かった制作会社の社長さんを偲ぶ会です。


この時期に予定通りに行うことは憚られる部分もあったようですが、故人を偲ぶことと併せて、いろんな情報交換をする場にもしたいという意向があったと思われます。



30人以上の出席者がありました。



社長は、3年前のプロ野球春季キャンプの時期に、ある放送局で収録に立ち会った帰り、若者の運転する車にはねられて亡くなるという悲劇に見舞われました。



僕はキャンプ取材で数日前に、ともに行動し、一緒にお酒を飲んだばかりだったので、訃報の知らせを聞いた時は、ただただ「信じられない・・・」という言葉しか出てきませんでした。



突然、自分の一番大切な人がいなくなる・・・僕も昨夏に経験をしたことです・・・。



奥さんに挨拶をし、僕も突然妻を亡くしたことを話すと、隣に座り、お互いにしか理解できないことを話しました。


「何年経っても亡くした悲しみは変わらない・・・」


いろんな出席者と酒を注いで笑顔で談笑していた姿を拝見して、立ち直っているのかな?と思っていましたが、やはり、そうではないのですね・・・。僕も同じ気持ちです。



でも、僕は「ある考え方」で悲しみをこらえています。


それは「寿命だった」と思い込むことです


どんな亡くし方であれ、「もっと自分にできることがあったはず」「こうしていれば死ななかったかもしれない」と少なからず自分を責めてしまいます。


あるいは事故死なら相手を責め、恨むでしょう・・・。


しかし、寿命だったと思い込むことで、少し考え方のフォーカスが変わるのです。



「決まっていた短い生涯の中で、自分を選んでくれて、自分にたくさんのギフトをしてくれた」と考えれば、悲しみとともに、熱い感謝の念が沸き起こってくるのです。


「感謝」はココロに物凄いパワーを与えてくれます。そのパワーで「立ち上がって前に進もう」と思えるのです。



この話、奥さんも似たような例を出して同意してくれました。



人生を支え続けてくれたものがなくなった者は、なんとか自分の内部から支えるものを抽出していかなければ生きていけません。


そういう意味で「故人への感謝の念」は大きなエネルギーを生んでくれるものだと感じています。



今回の震災で肉親を亡くした多くの方がいます。今は悲しみのどん底でしょう・・・泣くしか、できることはないと思います。


しかし、少しづつ日常を取り戻した頃に「寿命⇒感謝」の思考サイクルは、もしかしたら立ち直るきっかけになるかもしれないと経験上、感じます。


もちろん、この喪失感や悲しみは永遠です。


でも生きている以上、エネルギーを創出する以上、そのエネルギーを向ける先が後悔や悲しみばかりでは故人も浮かばれません。


遺された者としての存在意義を目一杯考えて生き続けることが、故人への精一杯の供養だと考えるのです。


多くの犠牲者の報を聞く度に、自分のような辛い思いをしている人がたくさんいることに心が痛みます。自分も涙します。そして何かをしたいと強く思います。


そこは冷静に状況を判断しながら考えて行動に移したいと思っています。




たまたま、その偲ぶ会に出席していたアナウンサーの大先輩とトイレで一緒になりました。


これまで挨拶程度しか言葉を交わさなかったのですが、その方、僕の妻のことをご存じでした。そして、悔やみの言葉をかけてくれました。


僕にとって、その方は高校時代にラジオで実況やDJを聞いていた憧れのアナウンサーなのです。


その方に、言葉をかけていただき、とても感激しました。「一度、食事に行こう」と誘っていただきました。


僕はアナウンサーになったおけげで妻と出会うことができました。


そのアナウンサーを目指すきっかけとなった方と遭遇し声をかけていただく縁・・・。


また・・・感謝の気持ちが・・・湧いてきました・・・。