震災報道一色から徐々にテレビも通常の番組を放送し始めています。
しかしスポーツイベントは再開のメドが立たないものもあれば、開催が危ういものもあります。
サッカーJリーグは3月中のすべての試合は中止、4月の再開も微妙です。プロ野球パリーグも開幕延期の方向。
どちらも関東・東北が本拠地のチームがあるためチームが機能しない状態でしょう。
スタジアムや練習場、クラブ事務所、球場、球団関係施設など復活・復旧には時間がかかりそうです。
出場校にも大きな影響がある高校野球選抜大会も開催の最終判断は18日とのこと。
抽選会で対戦相手が決まり「さあ、これから!」とモチベーションが上がるはずが・・・この事態ではなかなか甲子園モードになるのは難しそう・・・。
JRAは春のクラシック戦線も間近、トライアル競走もあるため、今週末から阪神開催を行う予定。
本来、中山で行われるはずのトライアルレースを阪神で行います。
プロ野球のセリーグ。予定通りに開幕の方向を打ち出しましたが、選手会は開幕延期を希望・・・。
とにかく難しい問題です。
スポーツは本来、人々に勇気を与えるもの。被災地での開催は無理としても、開催可能な場所では試合を行うことも「あり」だと考えます。
今の状況で「ナイターはいかがなものか?」ということですが、ならばデーゲームでいいと思います。
球場内のアトラクションや電飾を使うものは自粛したらいいでしょう。
もちろん、試合が行われることで「多くの利権」が動くこともわかります。スポンサー、放送局、新聞社など多彩なものが絡んでいます。
ただ、今は非常下です。できれば入場料を含め、すべての利権は放棄して震災復興のために回したらどうか、と思います。
粛々と、お祭りムードを払しょくして試合だけを行う。それでいいのではないのでしょうか・・・。
「とても野球どころではない」という選手は「自粛欠場」でいいでしょう。
試合を観る、観ないはファンにお任せして、できる範囲で最低限のシーズンインでいいのではないでしょうか。
高校野球も、教育の一環というなら、こういう状況下で開催することがプレーする側にも、観る側にも「何かを学ぶこと」に繋がるはずです。
北関東・東北の代表は出場を高校側に任せ、自主的に辞退したなら、夏に「被災地域枠」として出場権を与えてもいいでしょう。
そのくらいの配慮は、新聞社や放送局も、春・夏の主催者の壁を取っ払って考えてあげてもいいのではないでしょうか。
すべての競技は、開幕や開催に向けて、いろんな準備をしています。
その時間、労力は大変なものです。高校球児も、そうです。憧れの甲子園、どれだけ楽しみにしていることか・・・。
こんな事態に?と感じる方も多いでしょう。しかし、すべて自粛、中止では「スポーツの存在意義」は発揮できません。
こんな状況だからこそ、やれる範囲・できる範囲で開催することも必要だと思うのです。
人は、自分のためだけに頑張るには限界があると聞きます。しかし、人のために頑張ろうと思うと、大きな力を発揮できると言います。
被災地のために頑張る、被災者のために頑張る、プレーできる状況に心から感謝する。
これらの気持ちが、観る側を感動させてくれるプレーに繋がるはずです。
この状況下で「できる範囲の開催」を訴えることは、スポーツを愛する者の一方的な考えなのでしょうか・・・?
僕自身、もしセリーグが予定通り開幕なら、京セラドームの本拠地開幕シリーズ担当分のギャラは義援金にするつもりです。
スポーツに携わる者として、スポーツも応援しつつ、自分のできることを被災地に対して、やっていこうと考えています。
なお、この記事の内容は、すべて寺西裕一個人の考えであり、出演している番組や放送局には一切関係ないことをお伝えしておきます。
以上、スポーツアナウンサー寺西裕一でした。