私は目覚めると、この肌寒い家にいた | Please trust over 30

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体は大人、頭脳は夢見る乙女な30歳の"乙っさん"の僕が気になるものや事に関してつらつらと書き散らす駄ブログ




空腹とあまりの寒さに目が覚めると一面が真っ白。いつもは薄汚れたねずみ色をしているマツドが真っ白に染まっていました。





薄ら明るい雪の日の静けさや、あの空気のちょっと緊張したような凛とした冷たさは好きなのですが、前の日の夜は作るのが面倒臭くて夕食をとっておらず、空腹にこの寒さは正直こたえます。
何か作ろうと冷蔵庫を漁ってみたものの、こんな日に限って家には食材がなく、かといって食材を買いに行こうにもこの雪、家から一番近いスーパーは 歩いて10分もかかります。こんな日に、空腹を抱えて行けるような距離ではありません。間違いなく途中で凍死、もしくは餓死してしまいます。正しく座して 死を待つ身
「ああ、こんな片田舎で一人寂しく死ぬのかな…、ルーベンスの絵が…。」


※ルーベンスの絵


と今際の際に見る幻覚が見え始めた所で一つの希望を見いだしました。そう、僕の家から徒歩1分の距離にあったあの店の事を思い出したのです。
レジ打ち中に競輪放送を見入ってしまいレジ打ちを中断、レース終了と同時に何事も無かったかのようにレジ打ちを再開するような素敵なマスターが厳選した商品を販売するセレクトショップ、「○山商店」です。

飢えと寒さで満足に動けない体を気力で押しながらその一つの希望「○山商店」へと何とかたどり着きました。

店の扉を開けるとさすがカリスマ店主、競馬中継見ながら咥えタバコでお出迎えです。店内に入った僕を一瞥すると、また何事もなかったかのようにまた競馬中継を見始めました。
わあ、超クール。

でも客商売としては失格です。

店内にはそんな素敵でクールなマスターのセレクトした商品、酒、たばこ、お菓子、をメインに生卵やベーコン、調理パン等の食材や歯ブラシ等の生活 雑貨並んでいます。酒やお菓子は割と綺麗に陳列されているのですが、他の商品は適当です。特に生活雑貨は一目見ただけで明らかに陳列されてから1年以上経 ているに違いない商品が無造作に並んでいます。もう多分廃盤になっているんだろうなというようなアンティークも置いてあり、レアもの好きも大満足の品揃え です。

本当は食材が欲しかったのですが、正直、この店の生ものは怖かったので
とりあえず飢えさえしのげればとお菓子を購入、他になにかないかなと物色しているとなんとも魅力的な商品があるではありませんか。



甘酒のもと



雪を見ながら温かい甘酒なんて、なんて贅沢!
この前果たせなかった夢をやっと果たせる時が来たのです。
しかし、この商品、何故か大量に山積みされていました。こぢんまりとした店内の一角の棚一面にあふれんばかりの甘酒のもとが積まれた光景はかなり異様です。
しかし、今日のこの天気を見越し、僕のような日本酒は苦手だけど雪見酒を楽しみたいという客の深層心理を読んで絶妙なタイミングで大量入荷するとは、何と素晴らしいマーケティング能力でしょう。


そして、お菓子や雑貨等を買い込みレジで清算を済ませようとすると突然、店主が重たい口を開き

『何だか随分高くついちゃってるね、済まないけどもう一度清算させてくれ』

いいんですよ、そんなの黙っとけばわかんないのに、それにお代はもう頂いています、僕はあなたから誠実さという商品をかったのですから、とは口が裂けても言いませんが、食品偽 装や粉飾決算等、企業のモラルが叫ばれているこの世の中、客の事を考え、自分の誤りがあれば素直に認めようとするこの姿勢は見習って頂きたいものです。
いつもはクールだけど、たまに見せるこの優しさ、正しくツンデレですよ。
『おかしいね、こんなに高い筈ないんだけどね』と店主は何度も打ち直してくれています。まあ、実はレジ行く前に暗算してたので最初の金額であっているのは知っていたのですが、ツンデレ店主の優しさに応えるべくその事は黙って
気の済むまでレジを打ち直して貰いました。


そんな緻密な戦略をたてる頭脳をもったクールでカリスマ、その上ツンデレなこの店主、実は一つ秘密があるのですが・・・。それはまた次回、日記に書きたいと思います。


この日の夕食

ラーメン二郎 新宿歌舞伎町店にて
らーめん600円