宇田川町の中心でレコードを買ったケダモノ | Please trust over 30

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体は大人、頭脳は夢見る乙女な30歳の"乙っさん"の僕が気になるものや事に関してつらつらと書き散らす駄ブログ





もう先週の事ですが、宇田川町のスパイスレコードが1/27(日)閉店となりました。昨年末にはシスコが店舗を撤退し、ギネスレコードは店舗統合、DMRも店舗移転の噂があったりとかつては世界一の中古レコード街といわれた宇田川町も今や昔の話になりつつあります。


学生時代はバイトで貯めたわずかばかりの小銭を握りしめ、レコード店へと足繁く通っていたものでした。
今も大した変わらないのですが、そのころは本当にお金もなくて、中々新譜のレコードやレアなレコードには手が出せず。中古店のレコードの山の中から、いかに安く、いかにいい曲、そして誰も持ってないようなレアなレコードを探すかに躍起になってばかりいたような気がします。


ずっと探していたレコードが再発したので買ったら次に行った店でオリジナルが半値で売っていたり、大好きなアーティストのアルバムがでたので大枚 叩いて新譜で買ったら1ヶ月後に1/3の値段で中古屋に投げ売りされたり、大好きなアーティストのアルバムがでたけどどうせ中古で安く買えるだろうと高を 括っていたらプレミアがついて二度と手に入らなかったり、ポップで大絶賛のコメントがついていたので買ったら在庫処分の※クソレコ.

1枚100円のレコードをこれだけ買えば何枚かは当たりがあるだろう 20枚近く買って家で聞いたら全部クソレコ、
セールで指が千切れんばかりの量のレコードを買い漁り家で聞いたら殆どクソレコ、知らないレーベル知らない アーティストだったけどジャケットがあまりにもオシャレだったのでジャケ買いしてみたら中味が全く伴わないクソレコ、大好きなアーティストの新譜を『こい つなら間違いない!』と信用して、視聴もせずに買ったらやっぱり間違いだらけのクソレコ、と振り返ってみると再発とクソレコだらけでろくな思い出がないの ですが、それでもあの頃はレコードに夢中で、その一枚一枚に一喜一憂したものです。 

 
愛すべき僕のクソレコたち





今となっては通販でたいていの新譜は手に入るし、中古もオークションやレコード店で大分手に入るようになってきたので、直接店に足を運ぶ回数もめっきり 減っててしまいました。ただ足をあまり運ばなくなった一番の大きな要因はレコードに対する情熱が昔と比べれば薄らいできている事です。

ちょっと年をとったせいもあるのでしょう、学生の頃のように食費を削ってレコード買ったり、※モノの値段をレコードの枚数で換算したりというようなレコードが生活全ての中心ではなくなってしまいました。

これは僕に限った事かもしれませんが、ただ、これだけネットが普及し音楽のダウンロードが当たり前になり、PCを使うDJがめずらしくも無くなったこの世の中の流れをみると、レコード店、そしてアナログレコードでさえも過去のものとなってしまうような気がします。

確かにそういう時代の流れを見つめるのは寂しい気持ちがあるけれど、だからといってアナログを至上のものとして懐古主義にひたり、今の流れを否定 するつもりはありません。レコードは重い上に場所もとるし※音質も必ずしも最高のものではないです、レコードという制約から解き放たれる事により新しいモ ノが生まれる可能性だってあります。そして何より本当にレコードを愛し、今も変わらぬ情熱でレコードを追いかける人々にからすれば、最早今の僕にはレコー ドを礼賛し今の流れを否定する資格も無い筈です。
ただ、このようにレコードが無くなっていく姿を時代の流れと割り切る程、年取ってもいないです。

かつて多くのレコード店が軒を連ねた宇田川町で、多くの若者が色とりどりのレコード店のビニール袋を持って歩く姿をみて、これこそが新しい時代のフラワーチルドレンだと評した方がいました。
もしかしたら、もうそういう光景は二度と見られないかもしれません。
でも、そこに音楽とそれを愛する若者達がいればきっと新しいフラワーチルドレンが生まれてくるでしょう。

もし、僕に子供ができて音楽に興味をもつような年頃になったら、僕もかっては宇田川町でレコードを求めて闊歩していたフラワーチルドレンの一人だったんだよ、と伝える事が出来ればなと思います。




※クソレコ:文字通り箸にも棒にもかからないクソみたいなレコードの事。
中古の流通が多いレコード業界でも売っても駄菓子を買える位の値段になれば良い方で最悪引き取って貰えない可能性さえある。場所を取る上、燃える ゴミにも出せない正しく粗大ゴミ。環境にも悪い。クソレコを掴んだ場合の精神的苦痛は計りしれないが、レコード好きはマゾが多いのでクソレコ耐性が高く、 逆にクソレコを掴まされる事が喜びになっている強者もいる。

※レコード換算:三度のメシよりレコードなレコードジャンキー達の共通通貨である中古アナログ12インチ1枚の価格でモノの値段を計る事。レート は大体700円。計算速度は異様に早い。用例としては『このTシャツ、バーゲンで3800円だったんだ』『だいたいアナログ5枚分か、随分高いな』

※レコードの音質神話:レコードジャンキーの多くはCDよりもレコードの方が
音質が良いと信じている。確かに理論上はアナログレコードの現音を忠実に再現できる音響システムがあればレコードの方が音質はいいらしいが、その ような音響システムを構築するには非常に高額な機器と高度な音響の知識が必要である為、一般人には難しいとされている。レコードジャンキー達にそんな大金 がある筈も無く、そんな金があるなら一枚でも多くのレコードを買うような人種なので彼らにそのようなシステムを組むのは事実上不可能である。ちなみに、僕 にこの説を力説した友人の音響システムはアイワのミニコンポだった。ただ、低音はレコードの方が太い気がする。


今日の夕食    



ペペロンチーノとミネストローネ
すみません、写真直す気力がないです。