移植後20日を過ぎたあたりから


食欲が出てきた息子は


少しでも美味しいと感じられるものを

貪欲に探し求めるようになった。



これだったら美味しいかな?と思うものを

持ってきてほしいと毎日LINEで送ってきた。



ヤクルト、カルピス、CCレモン

(以前好きだった飲み物)


ソース焼きそばからしマヨネーズ付き、

トマトクリームパスタ、

ボロネーゼパスタ、

カレーライス

(カップヌードルカレー味は味がしなかったためスープじゃなくルーなら、と考えた)


スナックゴールド

(他の移植した人がデニッシュが美味しいと言っていた、と主治医から聞いた)


金のハンバーグ

(友達に味の濃いオススメ品を聞いた)


などなど。



ちなみに

チャーハンや焼きおにぎりは味がしないうえにご飯がじゃらじゃらに感じられ食感が良くないらしい。


ご飯がじゃらじゃら、て気持ち悪そうだ。


味覚だけでなく食感まで変わるのか…




息子のリクエスト品は

結構な量で1ヶ所で買い揃えられないこともあり買い物が大変になった。



けど一時は

まったく食べられない状態にあったことを

思えば、色々食べたいと言ってくれるのは

なんて喜ばしいことだろう。


私は

息子が美味しいと思ってくれるといいな、と思いながらあちこち買い物して回った。



息子が友達に聞いた「金のハンバーグ」


というのはコンビニの商品だったので


私はめったに行かないコンビニに行った。



「金の…」シリーズは他にも色々あって

どれも美味しそうだった。


今度、自分の昼ご飯にでも買ってみようか

と思うほどのコンビニ商品の改良具合に隔世の感があった。




コンビニ絡みで驚いたことが少し前にもあった。


息子が

大学の休学を申請するときに


先生とメールで面談したやり取りのコピーが必要だということで


息子は私に

予約してあるものをコンビニで受け取ってきてほしいと頼んできたのだ。



意味がわからなかった。


コピーといえば

現物をコピー機にバタンと挟んで、

というのしかやったことがないからだ。



不安になり

「できるかな…」と息子にLINEすると


「大丈夫、いざとなったら電話してくれたら教えるから」と言う。



コンビニで

もたもたしながらスマホを片手に


「えっ?それでどうするの?」


なんて聞いている自分の姿を想像した。



そんなの

振り込め詐欺に引っ掛かっているお年寄りと変わらんやん、とおかしくなった。



コピー予約の受け取りは無事にできたが


もしも主人が先に死んだら


いつぞやの時代からタイムスリップしてきたみたいな私はこの世の中で到底生きていけないな


と思った。