息子が白血病になり入院してから


家族でビデオ通話をするようになった。



しかし


移植のための入院をしてからは

息子はビデオ通話をしてこなくなった。



一時はLINEさえもできないくらい

体調が悪かったのだ。



ビデオ通話なんて

元気だからこそできるものであって

体調がどん底のときになどできるものではない。


ただ


以前は頻繁にしていたことが

ぱったりとなくなってしまうと

その影響の大きさを痛感する。


やはり


動く息子が見られること

息子がしゃべる声が聞けること


これらが私たち家族に与える力はすごい。



以前は

「おやすみなさい。また明日ね」


と画面の息子と言いあって

1日を終えられることで心が満たされた。


それがなくなるととてもさみしい。



けれど

息子の負担を考えると


さみしいからと言ってこちらから息子に

投げ掛けることはせずに

息子からの投げ掛けを待つことに徹しようと思う。



さまざまな苦痛に耐える息子を思いながら

息子に会えないさみしさをこらえ

ひたすら息子の回復を待つのは結構しんどい。



主人も今では

息子の苦痛が移植後2週間で終わるわけではないと理解しているので

私と同じように気持ちはしんどいはずだ。



でも

しんどいね、と主人と言いあうことは決してない。


一番しんどいのは息子だということを

二人ともよくわかっているからだ。




だから私も主人も

心のうちに抱えるしんどさを見せないように

これまでと変わることなく平常通りに生活している。




移植後20日めの朝


息子からLINEがあった。



「みんな大丈夫?」



もしかして

私たち家族の心のうちを見透かしてる?

と驚いた。



それと同時に

やっぱり優しい子だな、とじんわりきた。



私はすぐさま息子に返信した。


「大丈夫よ。

みんなのこと心配してくれてありがとう。

あなたこそ大丈夫?」




「俺はなんとも思ってないよ」




そしてこの日


移植後はじめて


「久しぶりにチャーハン食べたいかも」


と息子が固形物を所望してきた。