この頃よく昔のことを思い出す。


私がまだ子どもだったときのことだ。



楽しいこともあったけど

嫌だと思うことが多かった。



私が物心ついたときから

両親はよく喧嘩をしていた。


母は

あらゆる不満や愚痴を私に話して聞かせた。



何より嫌だったのは

母が私のいっさいがっさいに口を出して

自分の思い通りにしようとしたことだ。



母にしてみれば

自分を取り巻く状況に満足がいかなくて


娘である私の人生をコントロールして

理想の人生を歩ませることで

自分を満足させようと思ったのだろう。



そういった場合


たいていの子どもは自分の気持ちを押し殺して親の期待にこたえようとしてしまう。


しかし


そのことにより子どもが受ける心身の負担は甚大なものになる。



私は


なんでうちの母親はこんなのなんだろう

もっと普通のお母さんがよかった


と緊張なんかせずに安心して母親と接している友達のことがうらやましかった。



けれど


そんな私の家庭でも外から見れば

何の問題もない、むしろ恵まれた環境に見えただろう。



自営業の父と専業主婦の母がいて

何不自由なく暮らせていた。


私が大人になるまで

家族の誰一人として大きな病気をすることはなかった。



ただそこには愛が欠如していた。




今息子は

白血病という大きな病気を抱えている。



毎日苦しむ息子のことを思うと辛い。



けどその辛さは愛があるからこその辛さだ。



辛いけど不幸とは感じない。


逆に

自分のことじゃないのにこれほど辛い気持ちになれる相手が存在することは幸せだと思う。



辛いことと幸せじゃないことは

イコールではないようだ。




移植から14日め


息子は


喉は痛いけど口内の痛みはましになっている

と言ってきた。


そして

白血球が少し増えたと報告してきた。