移植から12日めの朝


息子が


「ちょいグロ写真とともにおはよう」


と舌を出して撮った写真を送ってきた。



その舌はやはり

いわゆる普通の口内炎のように


いくつかプツプツとできものがある

という感じではなかった。



何というか

舌に「白きくらげ」か何か張り付いてる?


と思ってしまうような

表面積の大きなでこぼこしたできものがあった。


主人が


「まだ痛いか。そろそろ治まってほしいな。

あと2~3日か。もう少しの辛抱やで」


と言っていた。


主治医が

移植から14日経つ頃には生着の兆しが現れているんじゃないか、と言っていたからだ。


それに対し主人は


「ちょうど2週間か。1時間でも早くって

願っています」


と返信していた。




13日めの朝


家族LINEの幕開けは


主人の


「おはよう。まだ痛くてしんどいか?」


で始まった。


息子は


「喉まあまあ痛いけど口内の赤みは引いてるらしい」


と普通に返信しているが


私は主人の聞き方にイライラしていた。



「辛抱してや」


を毎日言うのは主人の口癖なので仕方ない

と思えるが


まだ痛いか、とかあと2~3日か、とか

なんでそんなにせっつくのか。


かりにあと2~3日して生着したからと言って

スイッチで切り替わるみたいに

とたんに痛みやしんどいのが消えるわけじゃない。


人間の体は機械ではないのだから。



早くよくなってほしいという

主人の気持ちはわかるが

毎日「まだか?」なんて病気の本人に

よく聞けるもんだ、と思う。


そんなの息子本人が一番知りたいだろう。



主人は優しいし

言っていることに悪気がないことは確かだ。



しかし無神経すぎる。



「まだか」「まだか」と聞かれる

息子の気持ちを思うと


スリッパで主人の頭をはたいてやりたいくらいだ。