移植してから6日め


息子はゼリー飲料がほしいと言ってきた。


「もう固形物食えんくらい歯茎が痛い笑」


らしい。


とうとうきたか、恐るべし口内炎。



送られてきた写真の息子は


口の片方が異様に腫れて

顔の輪郭が変わってしまっていた。



そして


「夜中に鼻かんだら鼻血が出て午前中まで

止まらんくて疲れた」



粘膜が弱くなっているうえに

血小板も少ないため

ただ鼻をかんだくらいでこんなになる。


娘が


「ティッシュ詰めて耐えてfight」


と返信した。


すると息子が


「結局鼻焼いた」。



娘「は!?どういう意味??」


息子「鼻の粘膜がめくれたから焼いてん、

まあまあ痛かった」



……そんなことするんだ。


ふだん料理する人間として


ハンバーグの表面を強火でジュッと焼いて

肉汁をとじ込めるイメージが浮かんだ。



ものが食べられないほど口が腫れたり


血を止めるために鼻を焼いたり


なんだか拷問を受けているみたいだ。



20歳の息子が


こんなに生きてきた私でさえ

味わったことのない苦痛を一身に受けていると思うと心が苦しい。



主人の母と話していると


「かわいそうにねぇ。。

その苦しみをみんなでちょっとずつ分けることができるといいのにねぇ」


と言う。



ほんとにそう思う。


息子の苦痛を自分だけで代わってあげるのは

はっきり言って怖いし嫌だ。


でも

家族みんなでちょっとずつなら

肉体的にも精神的にもなんてことはない。



主人の母の

こういう考え方ができるところが好きだ。