今日が移植というの日の午後


「今からっすわ」


と息子からLINEがきた。




今から移植すると言われて


(どうか、どうかうまくいきますように)


とはやる気持ちを感じつつも


私が実質的に何かを手助けできることはない。



しかしながら

何かせずにはいられない気持ちになり


私はすぐさま

母の遺影の前にいき、お線香をあげた。



「今から移植するって。

骨髄が無事に生着して元気な体に戻るように

引き続き見守っていてね」


そう母にお願いした。



母の遺影は息子の部屋にある。



お水とお線香をあげて拝むのが毎朝の日課だ。


以前は


「いつも見守ってくれてありがとう。

今日も1日家族が無事でありますように」


と言うだけだったが

息子が病気になってからは


「息子はとても優しくていい子でしょ。

病気になっても弱音を吐かず

健気に頑張ってるよ。

どうか元気と明るさを授けてやってね」


と一時退院していた息子を

そばで見ていたであろう母に

殊更にお願いするようになった。



もちろん

結婚した家のご先祖にもお願いしている。



こんなときは

ご先祖がもっとも強力に守ってくれると

思うからだ。



息子には

亡くなった主人の父のパジャマを着せている。



息子が入院して

急にパジャマが大量に必要になった。


そのとき主人の母が言った。


「おじいちゃんの着てたパジャマがあるけど」


正直

一瞬(えっ…)と思った。


病気のときに

亡くなった祖父母のものを身につけることは

大きな加護になるとは思うが


あまりにジジくさいデザインだったとしたら

20歳の息子に着せるのは可哀想な気がした。



しかし実際は

どれもデパートで買ってきたブランド物の

パジャマばかりだった。


私がとり急ぎ

スーパーの衣料品売り場で買ってきたのより

よっぽど上等だ。


それ以来

せっせとおじいちゃんのパジャマを息子に

届けている。




ここからが息子にとって正念場だ。



おじいちゃんもおばあちゃんも

ふるって力を発揮して

息子を守ってやってください。


私は切に願わずにはいられなかった。