外来受診日。


今日は髄液注射だ。



まずは血液検査。


そして診察。その後に髄液注射。


言葉にすると短いが

実際はそれぞれの待ち時間が長い。



さらに

髄液注射の後は1時間休む必要があると

当日に知った。


めちゃくちゃ長丁場になるな…




読む時間あるかなぁ、と思いながら

今日はカバンに本を入れてきて正解だった。


息子は

ちょくちょく呼ばれて行くが

私は

その間待ち合いの椅子に座っている。



本を読むしかやることがないので

読むのが遅い私でも

すぐに読み終わってしまった。



手持ちぶさたになり

見るとはなしに周りの人をながめた。


老若男女とわず

たくさんの人が行き交う。


この人たちはみんな

息子のように白血病だったり

がんを患っていたりするのだろう。


子どもや

介助の必要な年老いた人以外は

たいてい一人で来ている。


みんな

どんなことを思っているのだろうか。



ここにいる人みんなみんな

痛い、苦しい、不安から解放されて

元気になってほしい、心からそう思った。




診察には私も同席した。



先日の骨髄検査結果で

がん細胞の数値が低下、あるいは横ばいなら

移植をするということだ。



息子のがん細胞は

一番低かったときより10倍にはなっているが

それでも細胞遺伝学的寛解レベルであり

移植が可能だということだ。



先生は何度も

タイミングを逃したくない、と口にした。


息子には

もう1回抗がん剤をして

再び白血球が回復してくるのを待つという

時間の猶予は残されていないのだ。



がん細胞が増えていた場合は

どうなるのだろう、と思ったが

息子がいることもあり聞くのをやめた。



髄液注射が終わり


息子が休んでいる間に

私は会計を済ませたり

薬をもらいに行ったりした。



息子のところへ戻ると

ちょうど息子が帰る仕度をしていた。


外は薄暗くなっていた。



「今日は長かったね。疲れたでしょ?」


と言うと


「オレは注射して寝てるだけやからいいけど

ずっと待ってるママがかわいそうや」



どうして

この子はいつもこうなんだろう。


今日は長かった、とすら言わない。


もちろん不満そうな表情でもない。


自分が大きな病気を抱えていて

それだけでも大変なのに

長時間の病院で疲れていないはずはない。




いったい何回

人間をやってきているのだろう。


お願いだから

まだまだこの世に残って

未熟な私をもっと上へと導いてください。