理解力、記憶力ともに

不足している息子から

白血球が増えてこないことについての

説明を聞けなかった私は


その何日かあと病院に行った際

廊下で主治医と数分間

立ち話をする機会があった。



主治医は

息子さんからお聞きだと思いますが、

という体で

さらりとなぞる感じで白血球の話をした。



そこから類推すると

白血球が増えてこないのは

抗がん剤とスプリセルを併用したことと

息子の白血病が

慢性型が急性化したタイプであることが

主な原因のようだった。



このタイプは

いずれ薬が効かなくなってしまうことがあり

病気のコントロールができなくなる前に

機会を逃さず迅速に移植する必要がある、

と聞いていたこともあって



なんか簡単にはいかない感じなんだな、

とちょっと不安になった。



最初に聞いていた治療計画では

今頃は2回目の抗がん剤をして

いるはずの時期だった。



白血球の数値が戻らないことには

抗がん剤が始められない。




先生は

少しずつ増えてきてはいるんですけどね、

と言って話題を変えた。



白血球がもっと増えて

その中の好中球の数値が増えたら

一度退院することを考えている、

と言われた。



たしかに

今の息子は癌の治療は休んでいる状態だ。


抗がん剤をしていなくて

体調も落ち着いてきたため

抗がん剤をした直後よりは

規制の緩いクリーンルームに移っている。



しかしまだ

退院するほどには

白血球の数値が戻っていないのだ。



退院できる基準としては

好中球が500を超えたら

ということらしい。


私が


「現時点ではその好中球というのは

どれくらいあるんですか?」


と聞くと


先生は


「今は160ちょっとです」と言われた。



素人の感覚で


まだそんな少ないのか、と思った。


だって3分の1以下だ。


私の感覚では

400を超えていたなら

あともう少しだ、と思う。



クリーンルームを出られるのは

まだまだ先の話だ、と思った。