虫垂炎になったことで

点滴栄養や流動食になっていた

息子の食事は

年明けには普通食に戻された。


ジュースとアイス以外のおやつも

食べていいよ、と主治医から許可されて

子どもみたいに喜んで

早速色んなおやつをリクエストしてきた。



息子が

主治医に質問することと言えば

こんなものは食べていいか、とかいう

食べものに関することばかりだが


当然のことながら

主治医は息子に病状の説明や

治療計画なども話してくれている。



虫垂炎が治って

これから白血球が徐々に増えてくると思う

と主治医は言った。


白血球とともに減少していた

赤血球や血小板は

補充したり適宜処置をすることで

徐々に増えてきた。



しかし

白血球は依然として増えてこないのだった。



それに関する説明を受けた

というので息子に聞くと



「何言うてるかほぼ理解できんかった」


「むずすぎて頭パンクした。

働く細胞見なあかんわ」


と返ってきた。



……おやつのことなんかより

病状の説明のほうが大事なんやけど!


と思ったが


息子にとっては

食べることしか物質的な楽しみがない

わけで主治医に聞きたいことが

おやつのことに偏るのは致し方ない。



病気のことに関心がないことも

病名を告知されたときに

あまり病気のことをサーチし過ぎないで

ほしいと言った私の希望通りだ。



それこそ

病気のことを検索しまくって

悲壮感を漂わせているより


食べもののことばかり考えて

のほほんとしてくれているほうがうんといい。




おそらく主治医は息子のことを

一人前の成人として対応しないと

いけないと考えているのだろう。


普段の説明は基本的に息子だけにする。



息子は頭の具合も悪いので

説明は私にしてください、と言いたいが

そうもいかない。



息子のように

説明を聞いて理解することが苦手な

人間が成人しているというのは

少し厄介なことだと思った。