大晦日を翌日に控えた日


息子が

明日は家族通話いつする?

とたずねてきた。


年が明けたら

中学校からの仲良しメンバーと

ビデオ通話をしたいから、と言う。



うれしかった。


大学に行くことや友達と遊ぶことなど

同年代の多くの人たちが送っている

日常生活から隔離したところにいる息子。



クリスマスもお正月も

ずっと病室でひとりだ。


ささやかなことであっても

楽しみがあることに救われる思いがした。


息子のことを気遣ってくれる

友達の存在にも感謝でいっぱいだ。




家族通話を何時にするか

という息子の問いかけには


うちは1日も父が仕事だから

早く寝るし家族通話は9時か10時くらいに

と返信した。




息子の病気が発症する前

1月1日は仕事を休もうかな、

と言う主人に


休日手当てがつくんだから

行ったらいいじゃない、

冗談のつもりで私はそう言った。



直後

息子が入院して

お正月どころではなくなった。


家でのんびり正月気分を味わう気など

さらさらなくなった主人は

冗談ではなく1月1日は

仕事に行くことにしたのだ。




家族通話と友達との通話の時間帯が

かぶらないことを確認した息子は


じゃあ年が明けた瞬間は

明けおめLINEだけ送るわ、と言った。



大晦日

「年越しうどんは初めてやわ笑」


と夕飯の写真を送ってきた息子は

そのあと

病室で紅白歌合戦を見ながら


同じく紅白歌合戦を見ている我が家と

色々やりとりしながら

予定通りその日のうちに通話を終えた。



私は翌朝

主人のお弁当作りがあるので

年越しを待たずに布団に入った。




朝起きると

息子から明けおめLINEが届いていた。




「明けましておめでとうございます

今年もよろしくお願いします」


「今年の抱負;麻雀強くなる

ガチのやつ;入院して良かったと

思える生活を送る」




涙が出そうになった。