息子は

虫垂炎が治ってきたので


点滴栄養から薄いお粥、普通のお粥

と段階を経て固形物をとれるようになった。


お粥は好きではない息子だが

久しく

口から食べ物をとっていなかったので


「食べられることが嬉しい」


と喜んでいた。



高熱やひどい寝汗は

おさまってはいたが


抗がん剤の影響と思われる

いくつかの症状が見られた。


赤血球が減って貧血になったり

体に発疹が出たり

唇や皮膚が乾燥したように

表面がボロボロめくれてきたり

頭髪も抜けてきた。


朝起きると

枕に抜け毛がいっぱいついているそうだ。


すでに丸坊主にしていて

毛が短いため手では取りづらく

テープを使って取っていると言っていた。


家族LINEで


「坊主似合ってる、て

看護師さんにハゲ増してもらった笑」


とだじゃれを送ってきた。


看護師さんも気を遣ってくれている。

ありがたい。



不快な症状が

盛りだくさんな息子なのに

家族には愚痴などまったく言わないし


看護師さんに対しても

愚痴を言わないどころか


看護師さんの仕事は大変すぎる、

自分のしんどさは

我慢できないほどじゃないから

もっと重症の人のところに

行ってもらえるようにナースコールは

あまり押したくない、と言っていた。



我が子ながらすごいな、と思う。


私だったら主人相手に

ここが痛い、こういうことが辛い、と

弱音をたくさん吐きそうだ。


それでいて

看護師さんにはいい患者でいたい。


いやな奴だ。



これは前から思っていたことだが

娘や息子のような若い世代の人は

私なんかよりうんと人間ができている。


若かった頃の自分を

思い返してみて


もし

それが自分の子どもだったとしたら

勘当して家から追っぱらいたいくらい

程度の低い人間だったと思う。


今もなお

立派な人間には程遠いが

昔よりかはずいぶんまともになった。



今まで関わってきたすべての人に

成長させてもらったのだ。


ありがたい。



息子は

身体的には苦しくても

看護師さん達に優しくケアしてもらい

精神的には心地よい入院生活を送っている。


ありがたい。