娘のときと同様

私と主人の検体の結果も

一週間くらいでわかると言われた。


娘のときは

一週間プラス1日で

結果報告の電話があったので


今回も

一週間プラス1日の日は

今日来る、今日来る、と思いながら

電話を待っていた。


が、いっこうに電話はかかってこない。



その翌日

たまたま主治医から

息子の現状報告の電話があった。


虫垂炎も治ってきて

高熱もおさまってきたので

あとは白血球が増えてくるのを待つ

という内容だった。


そのまま

電話を切られそうになったので


私が

「あの、先生…」


と言ったら


「ドナーの件ですよね」


さすが勘がいい、てか

こちらが気にしてるのわかってる。



「今、チームでどちらがいいか

話し合っているところです」


そうなのか。


ということは

私の血液の中に抗体はできて

いなかったのだな、と思った。


最初に説明を受けたとき


母親には抗体ができていることがある

のでだめかもしれない、と言われたのだ。



血液内科の医師チームでの話し合いに

私や主人が口をはさむ余地はない。


十分に話し合ってもらって

こちらは報告を待つしかない。



私か主人かどちらにするかは

十分過ぎるほど話し合われていたようだ。


待てど暮らせど

電話はかかってこなかった。


そこからまた一週間経ってから

病院に息子の洗濯物を届けたときに

主治医を見かけた。


「あ、先生。こんにちは」


「あ、こんにちは」

「今もまだ話し合ってるんです」



もうおかしくなってきた。


その話し合いはたぶん


どちらもいいから捨てがたい、

うーんどちらにしよう、

ではなく


こちらはここが難点で

こちらはまた違う難点がある、

うーんどちらがましかな、


という感じで難航しているのだろう。


私が笑いながら


「どちらも年をとっていたり

色々あって帯に短したすきに長し

なんでしょうね」


と言ったら


「いえ、どういう見方をするかでね、

変わるんですよ」


とちょっと困ったように

おでこにしわを寄せて言った。


はたして

そんなに話し合いが必要なほど

どっちもどっち、という感じの細胞を

息子の体に入れて大丈夫なんだろうか


と思いつつ


「よろしくお願いいたします」


と言いとりあえずその場を去った。