息子は

抗がん剤をしてからずっと発熱があった。


日によって

37℃台から38℃台を行き来する

感じだったが


病気が発症したときのように

異様な寝汗が出ることはなく

睡眠が妨げられるほど苦しくは

なかったようだ。



しかしある日

お腹が痛い、と言いだした。


毎日

息子が食べたいというお菓子などを

言われるままに差し入れていたので


主人は

食べ過ぎじゃないか、と言った。



息子は

毎日の病院食を写真にとって

家族LINEにのせていた。


「過去いち来たー」


と喜びのコメントとともに

あった写真には

ローストポークと付け合わせに

ポテトがあった。


息子によると

病院食の中でローストポークが

とてもおいしいらしい。


そして彼は

毎日でも食べたい、と言うくらい

ポテトが大好物なのだ。


そんな息子にとって

まさに黄金の組み合わせの夕食なのに

お腹が痛くて食べられなかったと

言ってたいそう悔しがっていた。



また

この頃から40℃を越える熱が出て

ひどい寝汗も復活したらしい。


夜も寝られず

お腹も痛いわで

翌朝の朝食は下げてもらった。


お菓子も食べたくないと言う。


好きだったお肉や魚のおかずは

今の彼には重たいらしく


野菜の和え物や果物がおいしい、と言う。


以前の息子とは別人のようだ。



差し入れは

飲み物メインになった。



お腹は激痛とまではいかないが

つねに痛いらしい。


先生いわく

高熱や寝汗は抗がん剤の影響が考えられ

お腹が痛いのは腸炎だと思う

ということだ。


息子のごはんは

お粥や消化しやすい副菜の

腸炎食になった。



抗がん剤の副作用は必ずあると

覚悟していたものの


高熱、寝汗、腹痛に苦しみながら

きらいなお粥を食べないといけない

息子がかわいそうになった。



腸炎は自然に治る、と言われたらしいが


抗がん剤ってこわいと思った。