娘の検体の結果は

だいたい一週間でわかると言われた。


その一週間がたった日

私と主人はそわそわしていた。


入試の合否結果を待つような感覚だ。


主人は

「結果がわかったらすぐLINEしてや」

と言って仕事に行った。


私は

買い物や犬の散歩から帰るたびに

「電話なかった?」

と娘にたずねた。


結局

その日に電話はなかった。



娘の携帯に連絡があったのは

翌日の夜だった。


娘は

まったく感情表現が豊かではない。


「……はい。……はい。」


淡々と受け答えする彼女を

そばで見守るも何もわからない。


「…ありがとうございました。

失礼いたします」









「あかんかった」。




あらら。


またちょっとがっかりだ。


4分の1の確率で完全一致

半分の確率で半分一致

なので

75%の確率で移植可能ということは…


と期待していた。



けど

心のどこかでは

完全不一致だったことに

やっぱりな、という気持ちもあった。


何せ

この姉弟には似ているところが

まったくないからだ。


顔は娘は純和風、

息子は東南アジア系のハーフに

間違えられることが多い。


体質や性格、得意なこと、考え方

何から何まで違うのだ。


白血球の型まで合わんかったか、

と少しおかしかった。




娘には

「あらそうなのね。」


となるべく彼女が罪悪感なんかを

抱くことがないように軽く返した。



「ハズレ引いたな」

と言う娘に


「うん。でもこのくらいのことで

ハズレ引いておいた方が後でいいこと

あるから」

そう答えて気持ちを切り替えた。



「これであなたには日程の調整を

してもらわなくてよくなったね」


と言ったら


「でも合ってた方がよかった」


娘はそう言った。



ドナー探しは振りだしに戻った。