12月は私の誕生月だ。


今までずっと

誕生日はうれしい日と思っていた。



年をとってしまうのは嫌だけど

誕生日はなんだかうきうきするのだ。


誕生日は間違いなく

年齢がひとつ増える日なのだから

矛盾していると自分で思う。


たぶん

誕生日がうれしいというのは

魂の声で

年をとるのが嫌というのは

エゴなのだろう。



今年はじめて

誕生日がくると思っても

全然うきうきしなかった。


いつもなら

プレゼントに何を買ってもらおうかな

とわくわくしながら考えていたが

物がほしいなどという気持ちは

一切なくなった。


主人も

今年は何買うの?

と聞いてくることもない。

それどころではないのだ。



あげくに

「誕生日ケーキはどうする?」

と聞いてきた。


毎年

家族の誕生日には

バースデーケーキを頼んでいる。


それを

今はそんな気分じゃないから

ケーキやめる?と言っているのだ。


そう言われて

今年はやめておこうかな、と思った。


たしかにそんな気分じゃない。




でもやっぱりやめるのはいやだ。


だって私が可哀想だ。


気分じゃないけど誕生日は誕生日だ。


いちばん大変なのは

病気になった息子本人だが

私だってがんばっている。


なんなら

生きてきた中で今がもっとも

真剣に生きているかもしれない。



思えば

いつだって(絶対生きたい)とは

願ってこなかった。



子どもの頃は

家庭不和に加え母親の支配的、過干渉な

態度に強い不満があり


こんな母親、

私が死んで後悔して悲しめばいいのに


と思うことがよくあった。



大人になってからは

子どもの頃ずっと夢みていた

あたたかい家庭を築くことができ


自分が

いちばん欲しかったものを手に入れられた、

もう人生の目的を果たしたから

死んでもいいや


と思っていた。



それが今は

息子が白血病になり

なんとしても自分が支えたい、

息子が元気になるまでは死にたくない


そう願う自分がいる。


人間ってずいぶん勝手だ。



となると

今の私にとって

健康に誕生日を迎えられることは

やはり喜ばしいことだ。



バースデーケーキは

息子が家にいない分

サイズを小さくして頼むことにした。