骨髄移植のコーディネーターさんが

娘に話を聞きにきてほしい

と言ってきた。


まず私から

ドナーになることを承諾してもらえるか

娘に意向を確認することにした。


娘は

息子のようなおバカな大学生ではない。

むしろ

ちょっと物知りな大学生だ。


白血球の遺伝子が、と言ったときも

親から遺伝した、遺伝する、

という意味ではないことを

わかっていたし


ドナーのことも

何も知らない私よりよく知っていて

兄弟である自分が

4分の1の確率で完全一致することも

知っていた。


何しろ私は

骨髄バンクのドナーに年齢制限がある

ことも知らなかった。


バンクのドナーは

55歳で引退しないといけないらしく

そうなると

主人はとうにアウトだし

私は引退目前ということになる。


ここは

ぜひとも20代の娘の造血幹細胞が

ほしいところだ。


娘は

最初からドナーになる心づもりを

していたらしく

すんなり承諾してくれた。


その旨を

コーディネーターさんに伝えて

話を聞きに行く日を

娘と直接やりとりして決めてもらった。


いくら

ドナーになることに迷いがなかった

からと言って

話を聞いて不安や気持ちの変化が生じない

とは言えない。


だから私は

娘がひとりで話を聞きに行くのがいい

と思っていた。


私がそばにいると

何も言わなかったとしても

当然協力してくれるわよね、と

無言の圧力を感じてしまい

自分の気持ちに蓋をしてしまう

可能性があるからだ。


娘に

ひとりで行った方がいいんじゃない?

と言うと

「一緒に来てもいいよ」

と言う。


この娘がこういう言い方をするときは

来てもいい、ではなくて

来てほしい、というのが本心の場合が多い。


なので

じゃ一緒に行こうかな、と

私も話を聞きに行くことにした。