白血病のような

治療期間の長い病気になると

それまでの生活基盤が中断されるため

諸々の手続きが必要になってくる。


息子は大学生なので

来春からは休学しないといけないし


病気を発症したときは

ちょうど

自動車教習所に通っている最中だった。


あと少しで免許が取れそうだったが

教習所の定める延長期間に

退院できる見込みはなく

結局解約手続きをすることになった。



さしあたり

息子が最も気にしていたのは

今学期に大学で受けている講義の

単位のことだった。


救急受診から

そのまま緊急入院したので

授業の欠席が増えていくばかりだ。


普段から

真面目に出席しているほうでは

なかったので一部の先生からは

あと1回の欠席でアウトです、

と連絡がきたらしい。


病院に

パソコンは持ち込んでいたので

課題には取り組んでいたものの


欠席日数がかさんでいく状況に

単位を落としてしまう、と

気が気ではなかったようだ。


そんな息子が

大学の事務に自身の状況を伝えてほしい

と私に頼んできた。


本来それは私がやることではない

と思ったが

病気だけでもしんどいのに

課題に追われ

精神的にも追い込まれている息子が

哀れに思えて大学に電話した。


やはり

息子は成人でもあるので

いくら保護者からの申し出であっても

まずは本人が先生と連絡を

取ってからでないと

事務室が先生に通達することはできない

と言われた。


もっともだ。


小中学校ならともかく

大学というところの性格上

本人が意思を伝えることが重要なのだ。


もうすぐ

抗がん剤の副作用がはじまり

身体的に苦しくなって

本人が先生と連絡を取るのが

難しくなるかもしれない、とも伝えた。


その場合は

保護者からの依頼でもよい

と言われたが

たぶん委任状か何かがいるのだろう。



事務室から

個別に先生と連絡を取る方法を

教えてもらい

私はそれを息子に伝えた。


息子は

課題の締め切りと格闘しつつ

合間をぬって

先生方全員にメールを送った。



中断された日常生活を

スムーズに再開するためとはいえ


患者は

病気になっても

寝てばかりもいられないとは

なんとも忙しい今の世の中だ。