私に腹を立てているかもしれない

という心当たりとは

息子のパンツのことだ。


寝汗がひどかった息子は

まだパジャマをたくさん買い揃えて

いなかった最初の頃は

「パジャマ着替え放題」

というセットを病院で頼んでいた。


パンツに関しては

家にあるのを使うのだが

私はうっかりしていて

そんなにたくさんのパンツを

届けていなかったのだ。


その日

息子から「パンツが足らん」とLINEがきた。


私は

「ごめん、明日は持って行く」

「ほんとにごめん」

と返した。


もう今日は持って行かない前提だ。


どうしても必要なら

パジャマみたいにレンタルしてくれれば

いい、と考えていた。


息子も

「今日持ってきてほしい」

と言うどころか


謝る私に

「いや、いいよ!」

「色々持ってきてくれて助かってる」

「ありがと!」

と私の罪悪感をなくそうとしてくれている。


それを


いや、これはほっておけん、

今すぐ届けるのが親というものだろう


と考えるのが主人の性格だ。


そして


息子がこんな大変な病気になっている

というのに、パンツも届けないとは

よくそんな可哀想なことができるな


と私に腹を立てているのかと思ったのだ。



しかし

よく考えてみると

主人はそんなことで私に腹を立てる

人ではない。


2回でも3回でも持って行ってやれ、

と私に要求する人でもない。


かりに私が

「もう1回行ってくる」

と言ったなら

「今度は自分が持って行く」

と言う人だ。


実際

主人は自分で病院に行き

息子にパンツを届けていた。



こういう感じの

私と主人の違いがあらわになるときが

これまでにも幾度となくあった。


その度に私は


この人は愛情深い人だな


と思うと同時に


自分は冷たい人間なのかな


と相対的に感じてしまう。



ちなみに

息子にこれを話したら


「オレやったら絶対持って行かへん」


「父の愛が重い」


だそうだ。