息子の白血病がわかり

私がまず心に決めたことは

平常心で普段通りの生活を送ることだった。


誰しも大切な人が白血病となれば

まず大きな悲しみに襲われるだろう。

私だって泣きに泣いた。


けれど

このまま悲しい辛い気持ちを抱き続けて

いいことは何ひとつないと思う。


そもそも

なぜ悲しいかというと

白血病は死ぬ確率の高い病気だと

自分が認識しているからだ。

そして息子が死んでしまう、という未来を

想像して悲しんでいるのだ。

しかし実際には

白血病になってもよくなっている人は

ちゃんといる。

どちらを想像するかを選んでいるのは

自分だ。


明るくいるためには自分にとって良い

未来を想像したり、辛いことの中にも

少しでも良い部分を見つける、

それでも良くない想像をしてしまうなら

すぐにかき消して今に集中することだ。


息子は今しっかり生きているのだし

白血病が良くならないと決まったわけでもない。

起きてもいない悲しい未来を想像して

暗く落ち込むのは

時間がもったいないと思った。



私は勝つとか負けるという言い方は

あまり好きではないが

あえて人生において何が勝ちだと

言えるか考えたとき

自分に与えられた人生の時間を

どれだけ明るい心持ちで過ごせたか

ということになると思っている。


普段あたりまえの日常を送れている

ときに明るいのがゼロポイントだとすると

あたりまえの日常を送れていながら

暗くしているのはマイナスだ。


すごく辛いことが起きたとき

ずっと嘆き悲しんでいるのはゼロポイント。

やや立て直して泣かないでいると

プラスポイント。

泣かないだけでも

めちゃくちゃがんばっているからだ。


さらに

そのようなときでも平常心で明るく

はたから見て「そんなふうに見えない」

と思われるほどの生活をしていると

とんでもないボーナスポイントが

もらえる。

私はそんなふうに考えている。


今の私の役目は

自分が明るい気持ちになって

それを主人と娘に伝染させること。

そういう家族の雰囲気や思いは

きっと息子にも伝わると思う。

たとえ離れていても

家族の意識は深い底のほうで

つながっていると思うから。