自分は文章を書くことが

けっこう好きなんだ、ということに

最近になって気づいた。


子どもの頃は

作文が大きらいだったし

読書感想文なんて

あらすじ以外に何を書いたらいいのか

まったくわからなかった。


しかし

書きなさい、と強制的に

書かされるのとは違って

自分が書きたいと思うことを

自由に言葉を選びながら書くことは

なんだか楽しいと思えてきたのだ。


さらに

自分が書いたものを

ほかの誰かに読んでもらえて

それなりに反響があれば

なおさらうれしいだろうな、と

ほのかな願望のようなものが生まれた。


かといって

私には物語を生み出すといったような

小説を書く才能はまるでない。


だったら何を書けばいいのだろう、

そう考えあぐねていたところへ

やってきたのが息子の白血病だった。


息子の闘病を書き記して

ブログにすることは勇気がいったし

いろいろな葛藤があった。

文章を書くのが好きだから、

という理由で選ぶ題材としては

あまりに悲しく重い内容だからだ。


でも私には書かずにはいられなかった。

たとえ悲しく重い出来事でも

大切な息子の一大事だし

浮かんでは消えていく空の雲のような

自分の感情のひとつひとつを

書きとめておくことは

ずっとあとになって

書いておいてよかったと思える

ような気がしてならないのだ。


息子と私のために書こう、そう心にきめた。

そうしたら

読んでもらうとか反響とかは

もういいや、という気持ちになった。

第一、お正月そうそう

息子の闘病なんていう

しんきくさい内容のブログなど

誰も興味を示さないだろう、と思った。


それが、だ。

ふと自分のブログのアクセス数を見て

目を疑った。

それこそ数字がバグってるじゃないか。

マンガなんかでよくあるみたいに

寝ぼけまなこを手でこすりたくなる

ような信じがたい気持ちだった。


私の記事がアメトピに掲載されたのだ。

おかげで私のブログが

たくさんの方の目にとまり

フォローまでしていただいている。

私が抱いた願望が

思わぬかたちで現実になった。


もしも

過去に戻ることができて

私の書いた文章が多くの人に

読んでもらえて反響をよぶ、ということは

無しになるけど

息子の白血病も無しにできますよ、と

言われたら

迷わずそちらを選ぶ。


けれども

自分の夢がかない素直にそれを

喜ぶ自分がいるのも事実だ。


人生は皮肉だ。

そして人の心は残酷だ。