今更の「いだてん」 | borderless fingerboard

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message from Y.O.U.

コメディ作家は、笑わせるだけではいけない。
というのが、些か偉そうながら僕の持論でありまして……
というね、真面目な考察で「いだてん」を語ってみようと思ってたんです。
思ってたんですけど、やめました。
野暮だなって。
僕がそんな講釈を垂れられるようなちっぽけな作品ではなかった。

かつて、こんなに泣いたドラマがあるでしょうか。
あり得ないくらい泣きました。
特に中盤以降、主人公が金栗から田畑に変わった辺りから、毎話毎話必ずどこかで涙腺緩んでました。

何だこれ。
大人計画なのに。
グループ魂なのに。
破壊と港カヲルと石鹸なのに。(バイト君と暴動もそれぞれ1話だけ出たよ)
何だこれ。
こんな私物化されたキャスティングの、好き勝手やってる脚本で、なんでこんなに泣けるんだ。

大河っぽくない?
そんな理由で観るの止めた人は、物語を楽しめない可哀想な人なんだと思います。
確かに過去の大河ドラマらしくはない。
朝ドラでやった方が良かったのかも知れない。
それでも僕は、この作品が大河ドラマという枠で放送されて良かったと思っています。
高齢者の為の娯楽になりかけている大河ドラマを若年層が観ても楽しめる作品に仕上げた手腕。
正直、宮藤官九郎がここまでやれるとは思っていませんでした。
もちろんファンですから期待はしていましたが、想像を遥かに超えました。
過去の作品と比較しても群を抜いていると、個人的には思います。

奇演怪演跋扈する豪華キャストの中でも、森山未來の演技が抜群でした。
中盤の推進力は、紛れもなく彼の功績でしょう。
第三の主役ないしは裏主人公というポジションでしたが、見事でした。

視聴率は悪かったみたいです。
1年間録り溜めた大河ドラマを翌年一気に観るスタイルの僕としては申し訳ない思いでいっぱい。
リアルタイムで観ていれば良かった。
微力ながら毎週毎週発信して、布教に努めれば良かった。
今からでも遅くないです。オンデマンドで観て下さい。
僕の中では、歴代No.1です。
(葵徳川三代と真田丸が今までのツートップ)