俳優・香川照之さんは『市川中車』を名乗る歌舞伎役者でもあります。長男は市川團子（いちかわだんこ）さんで二十歳。最近、読売新聞のインタビューに応えた中車さん。猿之助さんの現況について…
「普通じゃないことが起きました。（猿之助さんに）こちらから色々訊くことはできない。向こうから言葉が絞り出てくるのなら、聴かなければいけない。そういうことを今、慎重に待っている状態です。何もしない『自粛』が今は（猿之助さんが）やること。親族として、僕しかできないサポートをする。体調は分からないが、粛々と過ごしていると思います」
Something quite unusual has happened. I’m in no position to ask him questions. If he got anything he wants to tell us, then I am all ears. Now is the time all of us sit tight until something new happens. What En’nosuke is supposed to do is “inaction”. I, being one of his relatives, am ready to do what only I can do for him. I’m not sure about his health, though. I suppose that he is having a quiet time alone.
團子さんに関して、
「０.１秒で『やります』と言った（彼の）姿を僕は横で見てました。彼が代役で（不死鳥の役）を演じきったとき、人生で一度か二度あるかないかの、スゴイ奇跡が起きたと思いました」
I watched him accept the offer right off the bat. When he actually played the role of the phoenix to the hilt, I was struck by a miracle that you might see only once or twice in a life time.
『ひと言』の引用が長くなってすみません。『香川照之』ではない、市川中車さんの想いがひしひしと伝わってきて。割愛できませんでした。
私が悩んだ箇所は「自粛」。罪の意識や反省の色を出したくない。そこで使った単語が inaction。後半の「０.１秒」は直訳すると変です。ここはアメリカ人がよく言う right off the bat に。「奇跡」を目の当たりにした中車さん。ますますのご発展あれ
人生劇場ディレクター 高野 晴夫