「ユウコさん、届いてるわよ。阿倍野マスク」
お母さんが手にした二人分のマスク。あ、そうか。アベノマスクね。ずっと待ってたけど。来たこと忘れてました。ではオープン。えーっ、こんなんですか。
「466億円もしたわりにチャチねえ」
わたしはすっかりガッカリ。どこかに印刷してあるかしら。日の丸とかアベちゃんマークが。それは無し。良かった~。
「一つ一つは並品よ」と母。「すべての人が、同じものを身に着けるから。ぜい沢できないの。どこかの国民服のように」
そうイメージすると、なんか嫌。わたしたちガチ支配されてるみたいで。
「こんな事、かつて無かったわ。ダッコちゃんが流行ったときも。たまごっちが流行ったときも。持ってる人より、持ってない人の方が多かったし。これは建国以来の大偉業よ」
安倍さんが聞いたら喜ぶでしょね。あ、それで一つ思いついた。
「ついでに、ハチマキも添えればいいのに」
「ハチマキって、どんな?」
「頑張ろう!と白地に赤く染め抜いた手ぬぐい」
「皆が頭に巻くの? 受験生みたい」
「と言うより、無駄にハイな松岡修造」
以上でーす。