初体験を終えて、それからも2人の関係は変わらず、毎日が楽しかった。
慣れていくにつれて、気持ちが薄れるなんてよく聞くけれど、由紀と直樹はそんなことは一切なかった。
会うたび好きの想いを共有するように手を繋いだりキスをしたり。
マンネリ化しないように、色々な所へ遊びに行ったりした。
そうすることで、毎回のデートが新鮮で楽しいものだった。
永遠なんて言葉は信じない。毎回のデートが延命に過ぎないことだって分かっている。
それを踏まえて、今の私は幸せだ。そう胸を張って言えた。
でも、そんな幸せな日々は唐突に終わりを迎えることになった。
幸福と不幸は紙一重。好きと嫌いは紙一重。
些細なことで、その両極端とも言えるものはすぐに入れ替わる。
それが由紀にも訪れたんだ。それも発端は由紀。由紀の一言がきっかけとなって、愛と言う名の砂の山はボロボロと崩れ去ったんだ。
雪がさらさらと舞い落ちる日。
寒さで凍えそうになったが、直樹に会った途端にその寒さは消えてなくなり、頬が赤くなった。
「ごめん、遅くなって」
今日は珍しく由紀が遅刻。予定通り出たのだが、電車の遅延の影響で乗り継ぎに失敗したのだ。
毎回現地集合のスタンスの2人。
今日は東京の遊園地。
1月末になる今でもイルミネーションがやっているということでこの場所にしたのだ。
時刻は午後四時前、2人で夜専用のナイトパスのチケットを購入して中に入る。
ナイトパスとは夜の時間に乗り物が乗り放題になり、さらに一日分で買うより安くなっているというものである。
遊園地が好きな由紀としては、午前中から行きたかったのだが、直樹は絶叫系の乗り物が得意ではないということで、夜だけにしたのだ。
あくまで、目的はイルミネーションということもあり、由紀はそれを了承した。
けれど、ナイトパスを買ったのだし少しは乗り物にも乗りたかった。
「直樹君、あれ乗らない?」
そう言って由紀が指差したのは一分もかからないで終わりそうな短いジェットコースター。
大したスピードも出ないこのジェットコースターのウリは立って乗ることができるというものだ。
けれど、座って乗ることもできる。
これなら、直樹も乗ってくれるだろう。そう思ったのだが・・・。
「えー」
嫌そうな表情を浮かべてこっちを見る。
「あんまり怖そうじゃなくない?」
「いやいや、一回転するよあれ」
必死で拒否する直樹は、いつものクールさが感じられない。
可愛いな、そう思う。
「そんな嫌なの?」
「できれば避けたいな。それよりも俺は観覧車乗りたい」
「女の子ですか?」
ため息をつきながら由紀は言う。
「いやいや、遊園地と言ったら観覧車だろ」
「まだ観覧車は早いよ。イルミネーション点灯してないし」
イルミネーションは5時半から点灯することになっている。
由紀も観覧車は嫌いではないが、イルミネーションが点灯していない今に乗るべきではない。
「えー」
「とりあえず、乗ろうよ、ジェットコースター」
嫌がる、直樹の手を掴んで由紀はまず最初のアトラクションに乗りこんだ。
闇が一面に広がる空。そして、地上には散りばめられた光達が燦然と輝いていて。
その間にいる自分に少しだけ違和感を覚える。けれど、上から見下ろすイルミネーションの光にその違和感はかき消され、絶景にただただ見とれる。
「やっぱ、観覧車の方がいいだろ?」
「絶叫系も捨てがたいけどね」
そういいながら、彼の顔を見る。
ニコッと笑う彼は相変わらずカッコイイ。
観覧車の中でイルミネーションを見降ろしながら、2人きり。
絶好のシュチュエーションだ。
幸せなはずなのに、なにか・・・頭の中には幸せよりも違うものが大部分を占める。それは不安。
永遠なんて存在しない。いつかは彼とも別れが来る。
別れた後、彼はまた他の人とこの景色を見て、同じ笑顔を向けるのだろうか。
そう思うと、胸が痛くなる。
永遠は信じない。けど、2人の恋が今も確かで、続いていく。そう信じたい。
だから・・・
「別れない?」
その言葉を投げかけた。
別れたくない。その言葉が聞きたくて。まだ一緒にいられると思いたくて。
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すいません、他に書きたいのあるので、この作品、もうすぐ終わらせます><
じかいは水曜日です!