33話 すべての初めてを | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

半年でその行為をしようとしている2人はまだ早い?遅い?


基準がわからないから、どちらとも言えない中、誘った本人である由紀はベッドに座って固まっていた。


ラブホテル。普通のホテルと違ってそこにはカラオケがついていたり、お風呂が大きかったり、そして、ベッドのわきには『あれ』が置いてある。


風呂場からシャワーから流れる水が地面をたたきつける音が聞こえる。


直樹がシャワーを浴び終わって、出てきて、次に由紀が入る。そして、由紀が出た後、行為が始まる。


好きって気持ちをお互いに触れ合うことで、一つになることで感じ合う行為。


今では中学生でも普通に行われているものだけれど・・・初めてである由紀にはその行為が怖くてしょうがない。


それを望んできたのにもかかわらず。


みんな最初は怖いのかな。中学生でした人たちも高校生でした人たちも。


玲奈も、1年生の初めの林間合宿の時に言ってたっけ。


「初めては怖かったよー。入れた後も痛いし」


「それは好きな人とやったの?」


普通の人だったら愚問。けれど、玲奈は知り合った時から、好きな人じゃなくても付き合えると公言していたので、そんな疑問が浮かんだんだ。


「そうだよ。最初はね。痛い思いするのはわかってたからね。好きな人じゃなかったら耐えられないじゃん」


当たり前のことを言う玲奈に少し驚いた。


「玲奈らしくない」


自然とそんな言葉が出る。


「失礼な。私だって好きな人がいた時期ぐらいあるんだよ」


玲奈と由紀しかいない部屋に玲奈の声が響く。学校の泊まりで2人部屋は初めてすごく広く感じる。


「何歳のころ?」


「14かな、中2だから」


あの頃は若かったなぁ。大袈裟に遠い目をしながらいった。


「今だっで十分若いと思うけど。2年しか経ってないんだから。でも、早いね。経験するの」


中学生。そのころはみんな恋をするのに精いっぱいで恋人なんてものは望んではいなかった。


もっとも、それは由紀が見たみんなで、実際は隠れて付き合っている人もいたのかもしれないけれど。


「今どきは普通だよ。私ね、当時少し焦ってたんだ」


ポットが沸騰の合図を鳴らした。


玲奈はグラスを取り出して、お湯を注ぎながら紅茶飲む?そう聞いた。


「うん、ありがと」


由紀は頷いた後に、何を焦ってたの?と聞く。


「彼と早くしたいって」


「なんで?」


「初めての相手だから。私、そのころからませてたから、いつかはどうせ別れちゃう。って考えてて、だから初恋の人だし、最初はどうしてもこの人がいいなぁって思ったからさ」


いつもの玲奈とはかけ離れた恋愛の思想。普段の玲奈の恋には否定的だけど、この話には同調できた。


最初は大好きな人がいい。その想いは。


それは、1年経った『今』もだ。


シャワーの音が止まって、直樹が由紀の眼前に現れる。


いつかはいなくなってしまうかもしれない相手だけど、初めて好きって思えて、付き合えた人。


絶対後悔はしない。


体内で燃えていた青い炎が赤くなった。


燃え上がった気持ちは今が一番大きい。この熱が、想いが冷めないうちに・・・。


由紀は、仰向けに寝転がって、直樹を見た。


「シャワー浴びないの?」


「うん、後で浴びる。その前に、したいことがある」


「なに?」


「なにって・・・ここですることだよ。直樹君もそのつもりだったでしょ?」


「そうだけど、本当にいいの?」


確認する直樹君は優しい。けれど、たまには強引なものも期待してしまう。


由紀は積極的な方ではないから・・・。


「うん」


由紀が頷くのを確認した後、直樹は由紀の上に覆いかぶさった。


そして、由紀にキスをする。


キスをするたびに、初めてキスをした時のことを思い出す。けれど、今日は思い返せない。


そんな余裕はない。唇を重ね合う子供みたいなキスは一瞬で終わり、大人の世界に直樹は由紀をいざなう。


少しだけ開いた口から、直樹の舌が由紀の舌に触れた。


舌が絡み合い、脳が溶けそうになる。


初めての好きな人。


初めての彼氏。


初めてのキス。


初めてのディープキス。


どれも、最初は直樹君。


そして、初体験の相手も・・・直樹君になるんだ。




由紀の恋の色は直樹の色1色になる気がした。


それは、今だけじゃなくこれからもずっと。


もし、別れてしまったとしても。



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