25話 プレゼント | love storys  ~17歳、私と君と。~

love storys  ~17歳、私と君と。~

どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

誕生日を知らない直樹は由紀と会う約束をしていない。


聞かれなかった誕生日。言わなかった誕生日。


由紀にとっては一年に一回しかない大切な日であっても、直樹には356日のなかの平凡な1日。


一緒にいたかったな。


由紀は鳴らない携帯を睨みつけた後、それを放り投げて、ベッドの上で小さくうずくまる。


午後9時。由紀の誕生日はあと3時間で終わる。


毎年誕生日は素敵なものだった。家族で過ごしたり、友達と過ごしたり。


そこでは嬉しいプレゼントがあったり、サプライズがあったりして笑顔になれた。


だから今年が初だ。悲しくて・・・今にも泣きそうなのは。


17歳の誕生日。こんな気持ちで迎えるとは思わなかった。


心も体も、徐々に大人に近づいている今。好きな人に会えないくらいで泣きそうになっている。


子供だなぁ、まだ。内心肩をすくめて苦笑する。


去年の誕生日で結婚ができる年齢になった。この歳で実際に結婚をする人っていうのは数少ないけれど、いないわけじゃない。


そんな人達と比べて自分はどうなのだろう?


未来の筋道も立てることができていなく、漠然と毎日を過ごしている自分。


それに対して、子供を作ったりして、家庭を築いている人たち。


すごい差だ。


もう少ししっかりしないとな。そう思う。


ケイタイが鳴った。


着信音とは違う音が鳴っているので、誰かからのメールだろう。


今日は一日が始まってからたくさんの人からメールをもらった。


ほとんどは深夜0時ぴったりに来たものだった。


『誕生日おめでとう』


一言で綴られたメールであったり、やたら絵文字がついたものや、長文のものであったり。


様々な形で誕生日を祝ってくれた。


みんなよく覚えているものだなぁと感心しながら返信をしたっけ。


『ありがとう』って。


由紀は受信ボックスを開ける。すると、そこには意外な人の名前。


玲奈からだった。


玲奈からメールが来ること自体は意外でも何でもない。


普段も他愛もないことなどでメールするし。けれど、今日来るメールは誕生日おめでとうメールだけだと思っていた。


この玲奈から来たメールはそれじゃない。玲奈は0時ぴったりにそのメールをくれている。


なんか、用でもあるのだろうか。それともただの他愛もないメール・・・?


由紀はメールの中身を開く。


『今日、直樹君とデートしてる?』


・・・いらっときた。


どうやら後者だったらしい。


由紀は絵文字とかを一切つけずに『してない』


そう送った。


その後、玲奈は不快感を煽ってしまったのをを気付いたのか、返信をしなくなった。


代わりに、他の人からメールが来た。


その相手は直樹。待ちわびていた相手だった。


『今から会える?』


嬉しいはずのメール。けれど、玲奈がわざわざ気を利かしてくれたことを悟り、少しだけがっかりした。


そして、直樹と玲奈がメールをしていることに嫉妬した。それが、自分のためにしてくれていることだって分かっていても。


数々の相手への不安や不満。そして、些細なことでの嫉妬。


自分の心の狭さを知る。けれど、知ったところで何も変わらない。


性格なんて、そう簡単に変えられるものじゃない。


束縛・・・したい、と思う。でも、できない。


相手が嫌がるのが手に取るようにわかるから。


だから会って、「知らなかった、ごめん」そう言った後に「何か欲しいものある?」


申し訳なさそうに聞いた直樹に由紀は


「じゃあ・・・はい」


自分の手を差しだした。


「え・・・?」


「握手したい」


不安や嫉妬を和らげるため。好きな人を感じたいから願う、ささやかなプレゼント。


他の人から見たら、デートの中の当たり前の行為であっても由紀にはとても大きなものだったんだ。




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