22話 隠し事 | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

気づけば、直樹との電話は特別なものではなく、当たり前のものになっていた。


電話がかかってくる回数が増えることにより、この非現実的な現象がどのタイミングで起こるかがわかった。


10年前に電話がかかってきた日、時間。それにリンクして、まったく同じタイミングに電話が来るようになっているのだ。


たとえば、7月23日の10時に電話が来ていたとする。すると、10年後である今の7月23日の10時に電話が来る。みたいな。


さすがにいつ電話をしたとか正確な時間は覚えてはいないが、かなり頻繁にしていたのだけは覚えている。


毎回、直樹からの発信で。


10年前の二人は隣のクラスで毎日は話せなかったので、電話で声を聴けることが何より嬉しかった。


電話をすることで、彼女でいられていると心配性な自分の不安を解消できたし、より直樹を好きになることができた。


もっとも、付き合っているのを隠したりしなければ、隣のクラスまで行って堂々と彼と話すこともできたのだが・・・。


でも、隠すことは二人とも賛成だったので、そんな我儘も言えなかった。


今となっては、なぜそんなばれることを恐れていたのだろう、と不思議に思う。


付き合っているカップルはたくさんいたし、別に二人だけが注目の的になることもない。


からかわれるのが嫌。それだけの理由で学校では他人のふりをして。ものすごくもったいないことだと思う。


彼と共有できる時間をみすみす自分で逃していたのだから。


電話が楽しかったから、会えなくてもその時は満足していたのだけれど。


今考えてみれば、それはミスだったのだと思う。


そんな電話の中で、気がかりになっていたことを聞いたことがある。


「ねぇ、こうやって電話をしてくれるのは嬉しいんだけどさ、電話代とかって大丈夫なの?」


そんな野暮な質問を。


「全然大丈夫だよ。指定通話?みたいなのにしてあるから」


「なにそれ?」


携帯電話の知識は全くないため、何を言っているのかわからない。


「その相手となら、いくら電話しても値段が変わらない、みたいなやつ」


どうやら直樹にもその知識はあまりないらしく、回答がおぼろげだ。


「そんなのあるんだ?」


「あるんだよ。それにした」


由紀限定で。直樹はそう続けた。


「私のために?」


「由紀のために」


由紀は特別だ。そう言われたようで、胸が熱くなる。


「ありがとう」


「うん。俺が声聞きたいってのもあるから、別にいいんだけどね」


その言葉に想われている、そう実感できる。


幸せなひと時。これがずっと続けばいいな。淡い期待を空に投げる。


「これからもよろしくね」


「急になんだよ?」


「なんとなく。だめ?」


「だめじゃないよ。こちらこそよろしく」


直後、電話越しにあくびが漏れる声が聞こえた。


「眠い?」


「う~ん・・・そうだね。さっきまでバイトだったから」


「そっか。お疲れ様」


彼は、飲食店でバイトをしている。始めたのは最近のことらしい。


由紀と付き合ってすぐ。会う時間も減るのに、何でバイトを始めたのか。


気になって直樹に聞いてみたけれど、言わないよ。何事もないかのように、そう返されたっけ。


隠し事をしない関係。そんなものを望んでいるわけではない。


一つや二つ、恋人に言えないこともあるだろう。


由紀にだって、言いたくないこともあるし、お互い様だ。


けれど、バイトに関してはどうなのだろう?そんな言いづらいことがあるように思えない。


不安が募っていく。


なんでこんな些細なことで隠し事をするんだろうな・・・。


小さな不満が積もっていく。




すいません。


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次回は金曜日です。