「わぁ・・・」
目の前に上がった花火は何にも遮るものがなく、まさに絶景の位置からの光景。
「これを見せたかったんだ」
彼は照れながら微笑んだ。
ドーン・・・ドーン。
何発もの花火が宙を舞う。
「ありがと」
たくさんの色彩の花火。違うのは色だけではなく、形も。オーソドックスな花火もあれば、星型の花火など様々で観客の目を楽しませる。
由紀もその1人で、花火から目を話せなくなっていた。
そんな由紀に直樹は苦笑しながら、一度家の中に戻っていく。
由紀は、どこに行くのだろう?そんな疑問を抱きながらも、花火に夢中になっていた。
お祭りというものに行ったことがほとんどなく、数少ない行ったことのあるお祭りでも花火は上がらなかった。
というより、由紀は花火を避けていた。
最初に見に行く相手は恋人がいい。って思っていたから。
花火が綺麗な瞬間を映しだすのは一瞬に過ぎない。
その連続の中で、いつしか終わりが来る。終わりが来た時、静けさが訪れて寂しくなる。
だから、終わった後に、好きな人が傍にいたらいいなって。きっとそんな思いをしなくなるだろうから。
今まで音だけで聞いてきた花火。
遠くで、どっかで上がっているんだな。って思っていただけの花火。
テレビでは見たことあるけれど、実際に見てみると、こんな綺麗なものなのだと、初めて知った。
遅すぎる初体験。でも・・・。
直樹が缶ジュースを二つ持ってきて、一つを由紀の前に置いた。
「ありがと」
一つ一つ、色々なことを直樹から教えてもらって、想いを共有できたらって思うんだ。
好きな人だと一緒にいて楽しいし、さらに素敵な場所に行けたのなら、これ以上ない幸せな瞬間になる。
連続していた花火の音が一度止まり、宙に浮かばなくなった。
・・・終わりかな?
そんな疑問が頭をよぎった時、一つ、バーンと大きな音を上げて、花火が宙を舞った。
その花火はピンク色でハートを模ったもの。
けれど、ハートの上の部分は通常よりも潰れていて、斜めを向いていた。
何とも不格好なハートだ。
不格好すぎて、想いがちゃんと通じ合っていない今日の2人のことを思い出す。
直樹への不満が募る自分に、喜ばせようと、この場所に連れてきた直樹に。
着いた途端に花火が舞って、私は目を奪われて。
ここでくさいセリフの一つやキスだってありなのに、直樹はなにもしてこない。
恋人になって最初のデートであることは確かだが、キスだって普通じゃない?
昔なら、まだ早いなんて思うかもしれないけど、最近は中学生だってキスを簡単に済ますんだ。
今の由紀と直樹は17歳。
大人に近い思考を持ち、体も大人だ。
階段を上っていくのも、もう・・・いい時期だと思う。
告白だけして想いが通じ合っただけの2人のハートはまだあの花火のようにちゃんとした形にはなっていない。
言葉だけで通じあっても、行動で示さないと何も変わらない。
変えてほしい。そう願う。
ちゃんと、直樹の恋人になりたい。
不完全で曖昧な言葉だけじゃ足りない。
キスがしたい・・・。
気付けば、由紀の目には花火は映ってはいなく、直樹の横顔がそこには映っていた。
直樹は缶ジュースを飲みながら花火を眺めている。
すると、由紀の視線に気づいたのか、直樹が由紀の方を見る。
「どうした?」
不思議そうにそう口にして。
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お祭り、長いですねww
まだ終わりないしw
もう少し、お付き合いください!w
次回は明後日の金曜日です。
多分、お祭りはこの回で終わります!