12話 10年前と今と。 | love storys  ~17歳、私と君と。~

love storys  ~17歳、私と君と。~

どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

「直樹・・・くん?」


そんなことありえるはずがない。


直樹はもう死んだ。この世にはいないはずの人間だ。


「そうだけど。で・・・どうしたの?」


直樹は由紀に問う。


なにが、どうしたの?なんだろうか。


電話越しの彼が自分に聞いていることがなに一つ分からない。


由紀は、頭の中を一度リセットして、考えてみる。


そこに、常識とか先入観になる物はすべてなくして。


電話の相手は、直樹だと言っている。これは質の悪いいたずらの可能性が高い。


けれど、それをして何のメリットがある?


悪戯そのものに、する方がメリットを求めているかどうか定かではないが、これは無意味すぎる。


じゃあ、なにか?


これが本物の直樹だとでも?


それもまたずいぶんめちゃくちゃな話だ。


はたして、電話の向こうで何が起きているのだろうか。


その時、ふと雨の中通り抜ける車の水しぶきの音が由紀の耳に届く。


・・・雨?


由紀は反射的に壁にかかっている時計を見た。


13時40分。


そして、今日はあの日からちょうど・・・。


あり得ない。そうは思うけど、他に考えられないかった。


「なお・・・じゃなくて、佐藤君、今風邪ひいてる?」


「え?あ、うん」


「それ、私のせいだよね?」


確かめるための・・・術。


「山口さんのせい?そんなことないよ。昨日は久しぶりの雨で寒かったから・・・」


「傘・・・なかったんだよね?」


傘を貸してくれた直樹。彼は二本持っているからといっていたが、実際は一本しか持っていなかったんだ。


「・・・あったよ。もう一本」


彼は少し間を開けた後にそう言った。


(やっぱりだ。あの時と同じ)


10年前の今日、この時間。


由紀と直樹がした初めての電話。まさしくそれだった。


由紀は10年前と同じように言葉を紡ぐ。すると、直樹も同じように返してきて。


まるで、あの時をもう一度繰り返しているようだった。


そして、その電話は終わりの時を迎える。


「わかった」


由紀がそう返事をした後に、じゃあ、また。


直樹は電話を切ろうとする。


相手が本物の直樹だと疑念を持ってから、10年前をトレースして言葉を紡いだ由紀だったが、ここで過去とは違う言葉を口にする。


「ちょっと待って」


「ん?」


「最後に一つだけ、答えてほしいんだけど・・・」


ドクン・・・ドクン・・・。


胸の鼓動が高鳴る。


「なに?」


「今って、西暦何年?」


「1992年。何を今さら・・・」


1992年。それはちょうど10年前。


「何月何日?」


「なにそれ?なんかのクイズ?」


奇妙な問いに、怪訝そうに直樹は聞く。


「そうじゃないけど・・・」


お願い、答えて・・・。


「6月18日だよ」


彼は不思議そうに答えた。


この瞬間・・・由紀の疑念は確信に変わった。




にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ
にほんブログ村

↑ ↑ ↑

押してください~!!

励みになるので



おはようございます。


こういう回って書くの苦手んなんですよ。物語発展する瞬間?みたいな回ww


違和感なく読んでいただけてたらいいなと思いつつ・・・。


明日は日常ブログです!