4話 保健室で会った彼 | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

「いたっ!」


「少し染みるって言ったじゃない」


消毒液を由紀の膝に優しく塗せながら保健の先生は言った。


膝からは微量の血が流れていたのだが、少しずつ流れは弱まっていく。


「どう考えても、けがした時より消毒の方が痛いですよ」


「そうかもね。でも、消毒しなかったら、バイ菌入って余計に痛くなるからね」


保健の先生は慣れた手つきでガーゼを貼っていく。


「まあ、マラソンでこけるってなかなかないけどね」


「・・・ばかにしてます?」


「少し」


由紀は先生を大袈裟に睨みつけた。こけたくてこけたわけじゃない。


最後の一周でスパートをかけたら、足がついてこなかっただけの話だ。


反論の言葉を探していた時、ふいに、保健室のドアが開いた。


先生が、ドアの方を向くのにつられて、由紀も思わずドアの方を見る。


そこには、見覚えのない一人の男子生徒がいた。


それが後の由紀の彼氏である直樹だった。


「どうしたの?」


先生が声をかける。


「手、切っちゃったんです。絆創膏もらえますか?」


そう言って、直樹は由紀の横に座った。


当然、彼の座った場所には少し由紀とは離れていたのだけれど、なかなかこんなに近くに異性がいたことはない。


ドクン。変に意識をしてしまった。


横目で相手の顔を見る。


ワックスを使っているのか、少し不自然に立った髪。


大きな二重瞼で、整って細い鼻や顎。


確実にイケメンと呼ばれるような顔だ。


(こういう人は近くに女子がいてもなんとも思わないんだろうな)


少しだけ不愉快な思いになって彼を横目で睨んだ。


傷口、見せて。先生のその言葉に、彼は右手を出す。出した右手の人差指から赤いものが見えた。


「なにしたの?」


絆創膏を机の中から取り出しながら先生は尋ねる。


「割れた花瓶の破片を拾ってたら、こうなったんです」


「割っちゃったんだ?」


「隣の女の子が」


危ないから僕が拾ったってだけです。彼はそう続ける。


「へぇ。優しいのね。気があるの?」


先生が悪戯っぽい笑みを浮かべてそう聞くと、彼は顔を赤らめて、そういう訳じゃないです。そう答えた。


そして、絆創膏を受け取り、失礼しました。足早に保健室を出て行った。


「なに、生徒からかってるんですか」


「意味はないわよ。イケメンの反応を見てみたかっただけ。彼、意外にピュアなのね」


先生のその言葉に由紀は呆れ気味に苦笑して、じゃあ、私も戻りますね。そう言って立ち上がる。


「無理しないようにね」


「今日はもう走りませんよ」


「走れるわよ。それくらいなら」


「たまには、サボらせてください」


冗談交じりにそう言って由紀は保健室のドアを閉めて、グラウンドへと向かった。




校舎を出ると、登校時よりも、雲は厚くなっていて、いつ雨が降り出してもおかしくない。そんな天気になっていた。


降るなら、体育の時間前に降ってくれればいいのに。そうすれば、走ることなく、怪我をすることもなかったのにな。


グラウンドでは、同じグラスの男子が女子とは比べ物にはならないペースで走っていた。


走り終わって、見学している女子たちの群れに加わる。彼女たちは、由紀に気づいて、話を中断して


「あ、由紀。足大丈夫なの?」


そう声をかけてきた。


「うん。大丈夫だよ。何の話してたの?」


「さっき?さっきはね、今先頭で走ってる金原君ってやっぱカッコいいよねって話」


玲奈がそう答えた。


「そうなんだ」


由紀は話題の中心の金原を大勢いる男子の中から探す。


(あ、いた)


視界に金原をとらえる。彼のペースは他の男子より遥かに早く、遅い生徒と一周もの差をつけていた。


顔は・・・うん。まあ、かっこいい。


けど・・・。保健室にいた彼の顔が浮かぶ。


あの人の方がかっこいいな。


由紀はそんなことを思った。




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水曜日なので小説更新です。


4話ですね。いかがだったでしょうか?


序盤すぎますが・・・ww


色々やることが多いのに最近は上手く出来ていません。


時間を上手く使っていきたいですw


では、また金曜日。7時です。