~side綾音~
「綾音が好きだから」
今でもその言葉が頭の中で繰り返される。
嬉しかった・・・よりも複雑だった。
一度もそんな対象で見てこなかった相手。ずっと友達だと思っていた相手。
そんな相手からの告白。
これでよかったのかな。今になって疑問に思ってしまう。
考えたところでもう意味はないのに。
綾音は落ちてくる紅葉を眺めながらため息をひとつついた。
もう秋だ。恋愛で悩んでいる場合じゃない。
もう付き合うことは決めたんだ。これ以上考えるな。
自分にいい聞かせて・・・なおそれを考えてしまう。
不器用だなぁ。そう思う。
「ごめん待った?」
淳一が笑顔で、現れる。
屈託のない笑顔に少しだけ嫌悪感が芽生えた。
「いや、全然」
「じゃあ、行こうか。後ろ乗って」
「うん」
綾音は自転車の荷台に乗る。
荷台は乗り心地はけしていいとは言えないが、漕がなくて良いから楽だ。それに、ニケツはカップルの代名詞でもある。
もっとも、恋人になる前からやっていたことではあるのだが。
「行くよー」
一度、淳一は立って自転車を漕いだ後、座り直す。座った後の前にあるがっしりとした背中にそっと触れる。
悠太よりもたくましい背中。運転にも安定感があり、後ろに人が乗っているのを感じさせない運転だった。
悠太君の時は、危なっかしかったからなぁ。
思い出して、顔がほころぶ。
「ん?どうした?」
背中に目でもついているんだろうか。それとも、笑ったのが声に出ていたのだろうか。淳一が反応する。
「なんでもないよー。それより、勉強は順調?」
悠太のことを出すのは不謹慎かと思い、綾音は話題を変える。
「あんまり。綾音は?」
「ぼちぼちかな」
「なにそれ。模試の結果とかはどうなの?」
「A判定だよ」
「余裕じゃん」
受かったも同然だな。淳一は続けてそう言った。
「淳一は?」
当然のように綾音は聞き返す。
「B判定。少しやばいんだよね。だから図書館で勉強。綾音、教えてね」
「えー・・・いくらで?」
冗談交じりにそんなことを言ってみる。
「金とるのかよ」
「もちろん」
「じゃあ、図書館までの交通費ってことで」
「却下です」
背中しか見えない相手に綾音は舌を出す。
「恋人なんだからいいじゃん」
・・・恋人か。
淳一の言葉に反応する。友達から恋人になって、何も変わらないわけじゃない。
こうやって今はまだ、昔みたいな会話や行動をしているけど・・・。
いつか一定の距離感を持った関係が崩れて、一気に近くなる。手を繋いでキスをして。セックスをする。
今の2人はそんなことをするのが普通の関係。
キス。淳一とするその行為に想像がつかない。
・・・やっていけるのかな。
一度崩れた関係はもう戻らない。
突き進むしか道は残されていないんだ。
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ん~・・・。
稚拙になってきたぞ・・・。
やばいな。
次回は明後日の金曜日です!!