「え・・・と・・・」
綾音は言葉に詰まる。
「ごめん、やっぱ迷惑だよな」
淳一は悲しげな顔をして、下を向く。
こんな淳一を見たら、綾音は慰めをする。どうしたの?そう聞いて。けれど、今回はそれができない。
原因は綾音にある。
「迷惑じゃない・・・けど」
なんていえばいいだろうか。綾音は戸惑う。
間違いなく、今自分の気持ちは悠太にしか向いてない。悠太は他の誰よりも圧倒的に大きな存在だ。
でも、ここで淳一を振ってしまったら関係はどうなるだろう。
今までみたいに遊びに行けなくなる。自分の安らげる、笑顔になれる空間が麻衣だけになる。
それは嫌だった。淳一は今大切な存在だ。
こんなことで関係を壊したくない。
「ごめん、聞かなかったことにして。もう夜だし帰ろうよ。お母さん心配するかもしれないし」
綾音が答えを模索していると、淳一は薄く笑って、綾音の返事も聴かずに歩きだす。
分かっている。淳一のその表情からそう読みとれた。
表情を見ればお互いに分かるんだ。何を思っているか。次のどんな言葉を発するのか。
それは、まるでテレパシーのような便利なものであるが、同時に不便なものでもある。
相手を見ただけで、察することができてしまうのだから。
自分にとって嫌なことまでも・・・。
淳一は綾音の困惑した表情を見て思ったのだろう。自分の恋は報われないのだと。
寂しそうな背中が映る。それが自分のせいだと思うと悲しくなる。
罪悪感が募ると同時に、嫌な想像をしてしまう。
今、引き止めなかったら、遊びに行くことはおろか、会った時笑顔を見せてくれることすらないのではないかと。
だけど・・・。そんな理由で彼を引き留めていいのだろうか。
付き合うというものはお互いに好き同士だから成立するものだ。
考えているうつに少しずつ、淳一が遠ざかっていく。
(やっぱ、綾音は不器用だよね)
麻衣の言葉を思い出す。
確かに、器用ならば簡単に淳一の背中を抱きしめて、付き合おうよ。なんて言えるはずなのに。
悠太との恋は終わったんだよ。
自分に言い聞かせる。
終わってしまった恋はもう元には戻れない。
同じ形の恋は二度存在することはない。
違う形での悠太との恋を思い描くのもいいけど、それは所詮妄想の中の世界だけで触れることはできない。
もう一度会えたら・・・そう自分の意思を固めたけど、じゃあ逆に会えなかったら?
隣に誰もいない自分は惨めで情けない。
頼りたくなる場所はほしくなる。欲しい時になかったら意味がない。
器用に・・・器用に。
呪文のように綾音は自分に言い聞かせて、淳一のもとに走る。
そして、後ろから抱きしめて
「行かないで」
そう言った。
それはもちろん本心から出た言葉。
だけど・・・違う。
友達としていなくなって欲しくなかった。
それを恋愛のニュアンスで言ってしまったから、その言葉は本当であり、嘘でもある。
それは淳一も分かっていたようで・・・。
「本当にそれでいいの?」
この問いに迷ったら、淳一はいなくなる。
そう思った綾音は、うん。そう即答した。
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これでいいのでしょうか・・・。
とは思いますがww
みなさんがこの状況だったら付き合いますか?
次回は明後日の月曜です。