すべての科目が終了して、模試が終わって、生徒たちは立ち上がり、ぞろぞろと教室を出ていく。
そんな生徒たちに悠太は「お疲れ様でした」一人一人に声をかける。
そして、綾音にも例外じゃない。まったく同じ口調で、何も変わらない言葉がかけられる。
その言葉には何も変化はない。それが綾音を悲しくさせた。
・・・もう特別じゃないんだよね。
涙が出そうになる。綾音はそれを必死にこらえて教室から出た。
もう一度悠太の特別になりたい。そう思う。
けれど、それは叶わない願いなんだとも思う。
自分の我儘で失って、自分の我儘でもう一度・・・。
そんなこと許されるのだろうか・・・?
悠太は元々、高校の時の先輩で、同じ部活動に所属していた。
その時、悠太は高校三年生で綾音は一年生。綾音にとって悠太はただの先輩で景色を構成する人物の一人でしかなかった。
そんなある日、その彼が綾音にとっての中心になる。そんな事件が起きた。
いつもどおり、道具の片づけを終えて帰る時間になる。しかし、いつもとは違う空がそこにはあった。
道具の片づけは基本的に一年生がすることになっている。その作業がいつもより、時間がかかってしまい、帰るのが遅くなってしまったのだ。
綾音は帰り道は基本的に一人である。それは、綾音の友達はみんな学校から家が近く、駅を使わないから。
それにはなれていたし特段苦痛でもなかった。
けれど、その日は違った。空にはもう月が浮かんでいて、あたりは真っ暗。
怖いなぁ・・・。綾音はそう思った。
けれど、学校に残っていてもしょうがない。綾音は意を決して駅までの道のりを歩きだす。
学校がある街並みは田舎で人通りが少ない道が多かった。
自分の足音だけが響く。自分が立ち止まれば、当然音は止んで、何も聞こえなくなる。
この無音がたまらなく嫌だった。
早く駅に着かないかな。そんなことを思う。けれど、まだ先は長い。
「はぁ・・・」
ため息をついたと同時に、後ろから足音が聞こえだした。
その足音は少しずつ大きくなっていく。
誰だろうか。少し・・・怖い。
その足音がまじかに迫ってくる。綾音は恐る恐る後ろを振り向いた。
するとそこには、悠太がいた。
「なんでこんなとこで立ち止まってんの?」
「いや・・・別に。意味はないです」
綾音は少しだけ強がる。
「一人の夜道は怖いとか?」
「う・・・」
「あ、そうなんだ。駅まで行くの?」
悠太は少し笑っているように見えた。
・・・馬鹿にされているのか?そんなことを思った。
「そうです」
「じゃあ、送って行こうか?」
「え!?いいですよ」
綾音は手を横に振る。
ここら辺に住んでいる人なら申し訳ないことだ。
「俺も、電車通学だから駅使うんだよ。どうせ、道一緒なんだし、怖くなくていいだろ?」
「・・・はい」
電車通学だと聞いて、綾音はうなずいた。この時間一人で歩くのは怖かったし。
二人で歩く、道中は思ったより楽しく、すぐに終わった。
毎日こうやって帰れたら、楽しいだろうな。
そんなことを思っていると、それが通じたのか、また一緒に帰ろうか?悠太がそう言ってくれた。
後々、その時の言葉の真意を聞いてみると、綾音がさみしそうな顔をしていたからだったらしい。
そして、綾音と悠太は毎日一緒に帰るようになった。
それは気づけば当たり前のものになっていて、自然と手をつなぐようになっていた。
二人で笑う回数も増えて、幸福な時間だった。
悠太が部活を引退して、一緒に帰ることがなくなっても二人の関係は変わらなかった。
逆に、二人きりでわざわざ会うことなどを考えると、より恋人っぽくなれたのかもしれない。
幸せだった。
それは等身大の恋だったと思う。妥協や高望み・・・そんなものではなく。
だからこそ、後悔は深く強い。
もう一度・・・特別に。
それはきっと願っても手に入らないもの。
それでも、想いは変わらない。
奇跡的に出会っても何も言えなかった。
今度は・・・。もし、もう一度会えたら。
運命って思ってもいいかな・・・?想いを伝えてもいいかな?
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今日は逆に長かったです。
二人の出会いです。
その場で考えましたww
いまいちだー!!w
次回は明後日の月曜日です。